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平野美紀|オーストラリア

冬にもう一回クリスマスを!7月に真冬のオーストラリアでクリスマス

オーストラリアではクリスマスが年に2回ある?!(Credit:kajakiki-iStock)

日本では、今年は早くもほとんどのエリアが梅雨明けとなり、ますます暑さが厳しくなってくる7月。オーストラリアの一部の町では、クリスマスを祝うためのイベントが忙しい季節となる。

え?まだ1年の半分しか経ってないのに??と、いぶかしく思う人も多いかもしれない。日本をはじめとする北半球が本格的な夏を迎えるこの時期、南半球のオーストラリアは、1年で最も寒さが厳しくなる「真冬」に突入する。

冬の一大イベントといえば、誰が何と言おうと「クリスマス」。これに異を唱える人はいないだろう...いや、異論は認めない(笑)

そう、これから本格的な冬を迎えるオーストラリアは、今がクリスマスのシーズンなのだ!

クリスマスが真夏では味気ない ?!

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昨年のクリスマス当日、マンリー・ビーチにて。男の子はサーフィンの帰り、家族はサンタ帽。(2021/12/25 筆者撮影)

ご存知の通り、北半球とは季節が逆のオーストラリアでは、本来のクリスマスがある12月は「夏」となる。サンタクロースがサーフィンに乗ってやってきたり、海で泳ぎながら、ビーチでバーベキューしたりしながら過ごす真夏のクリスマスも、それはそれでいいものだ。

けれども、北半球からやってきた人々にとっての「クリスマス」といえば、どうしても「雪の降るロマンチックなホワイト・クリスマス」といった古典的なイメージが頭から離れない。しかし、夏にクリスマスを迎えるオーストラリアでは、それは願っても叶えられない夢...

そこで、本格的に寒くなって雪がチラつくような真冬に、薪をくべた暖炉を囲んでロースト・ターキー(七面鳥)を食べながら、オーソドックスなスタイルのクリスマスを祝おう!というわけだ。

冬の7月にクリスマスを始めた「ブルーマウンテンズ・ユールフェスト」

オーストラリアで、冬のクリスマスとなるChristmas in July (7月のクリスマス)が始まったのは、シドニー中心部から車で約90分の世界遺産ブルーマウンテンズにある町「カトゥーンバ」。

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カトゥーンバにある展望台から見える「スリー・シスターズ」は、ブルーマウンテンズ最大の見どころ。(2021年 筆者撮影)

1980年の7月、冷え込んできた冬のある日のこと。ブルーマウンテンズ地区のカトゥーンバの町外れにある「マウンテン・ヘリテージ・ホテル」に宿泊していたアイルランドからのグループ客の一人が、窓の外を眺めていた時に雪が舞ってきたのを見て、こうつぶやいた。

「今はクリスマスではないけれど、なんだか母国のクリスマスを思い出すね」

これを聞いたホテルのオーナーが、気を利かせて、館内にクリスマスの飾り付けをし、積もり始めた雪で雪だるまを作り、ディナーにロースト・ターキーやハムを振舞って、クリスマスらしさを演出したのが最初とされている。このホテルでは、翌年も同様のディナーイベントを実施して大盛況となり、今も毎年続けられている。(参照

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6月下旬になると、カトゥーンバの町中にはクリスマスの飾り付けが登場。今年6月のメインストリートのウインドーディスプレイ。(2022/6/20 筆者撮影)

この出来事をきっかけに、真冬となる季節にクリスマスを祝う気運が高まり、町をあげてイベントを実施するまでに発展。現在は「ユールフェスト」として、毎年6月下旬~8月にかけて、ブルーマウンテンズ地区全体で実施されている。

ユールフェストとは、ドイツや北欧の言語で「真冬」または、「クリスマス」を表す Yule と、「フェスティバル(お祭り)」の fest から成り立つ言葉。日本語にすれば「クリスマスのお祝い /お祭り」という意味になるそうだ。

ブルーマウンテンズ地区は、最も標高の高いところで1,200メートル前後だが、冷え込みが厳しい日には雪がチラつくこともある。つまり、タイミングがよければ本当にホワイト・クリスマスになるという、冬のクリスマスを味わうにはうってつけのエリアだ。

ブルーマウンテンズのユールフェストは、クリスマス・ディナーが付いた宿泊パッケージで滞在するのが定番。聖歌隊のキャロルを聴きながら、チラチラと燃える暖炉の前で、ロースト・ターキーやクリスマス・プディングに舌鼓をうつのを毎年楽しみにしている常連客も多いという。

「7月のクリスマス」の起源

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暖炉を囲んでのディナーは、クリスマスらしさ満点のデコレーションで。(Credit:sara_winter-iStock)

オーストラリアでは、本来、冬のイベントであるクリスマスを南半球でも冬に楽しもう!というコンセプトで定着してきたわけだが、実は、7月にクリスマスを祝う「Christmas in July」という習慣は、米国のノースカロライナに起源があるという。

1933年にノースカロライナで行われた夏のキャンプ行事で、「こんな真夏にクリスマスを祝うのもオツものではないか?」といった感じの余興としてやったのが始まりのようだ。(参照

ブルーマウンテンズで始まった南半球の真冬のクリスマスは、オーストラリア全土へ、さらには、ニュージーランドへと広がった。近年は、シドニーをはじめとする主要都市でも「7月のクリスマス」を楽しむイベントが開催され、週末は多くの人で賑わう。

北半球とは季節が逆のオーストラリアで定着した「7月のクリスマス」。なかでもブルーマウンテンズには、真冬の南半球で2回目の(いや1年の最初の?)クリスマスを祝おうと、国内外から大勢の観光客が訪れる。南半球の真冬のクリスマスと真夏のクリスマス、趣の異なる2回のクリスマスを楽しむのもまた一興だ。〈了〉

ブルーマウンテンズ・ユールフェスト Yulefest in the Blue Mountains - Visit NSW

 

Profile

著者プロフィール
平野美紀

6年半暮らしたロンドンからシドニーへ移住。在英時代より雑誌への執筆を開始し、渡豪後は旅行を中心にジャーナリスト/ライターとして各種メディアへの執筆及びラジオやテレビへレポート出演する傍ら、情報サイト「オーストラリア NOW!」 の運営や取材撮影メディアコーディネーターもこなす。豪野生動物関連資格保有。在豪23年目。

Twitter:@mikihirano

個人ブログ On Time:http://tabimag.com/blog/

メディアコーディネーター・ブログ:https://waveplanning.net/category/blog/

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