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バーレーン王国発・アラブ産油国の日常

福田健人|バーレーン

バーレーンに立ちはだかる対イスラエル国交樹立への壁

前回の記事では、バーレーン政府がイスラエルとの和平交渉に挑むうえでリスク要因となる、国内の反政府勢力およびイランの問題について紹介した。イスラエルとの直接的な対立関係がないバーレーンにとって、現実的な脅威は常に対岸の大国イランであるということに変わりはない。だが、イスラエルとの和平交渉入りは国内の反政府勢力を刺激する材料になる以上、このタイミングでアメリカの要請に答えることはできなかった。このあたりについて、バーレーン国内で話を聞いたところ、同国の過去の経験が少なからず影響したのではないか、との意見があり、私自身も非常に興味深く感じたので、ここで紹介したい。

バーレーンは2011年、多くのアラブ諸国と同様、大規模な反政府デモを経験している(アラブの春)。湾岸諸国で最大となった同国のデモは、当初は純粋に政治改革を求めるものであったが、体制の転換を目指すシーア派反政府勢力の政治主張を嫌ったスンニ派住民や穏健派のシーア派住民が離脱、より過激なデモへと変化していった。バーレーンには米海軍の第五艦隊の司令部が置かれているが、この政治的危機のなか、当時のオバマ政権はバーレーンの体制を守るための具体的な行動を何も起こさなかった。アメリカの静観をよそに、バーレーンの体制を守るために実際に動いたのは隣国のサウジアラビアを中心とするGCC合同軍であり、彼らの駐留が政変の阻止に繋がったという歴史がある。

近隣に住む友人の話とドライブしている際、私がイスラエルとの和平交渉についてさりげなく触れてみたところ、彼はこう呟いた。
「10年前、アメリカはバーレーンを守ってくれなかった。今回の件で仮にまた大規模なデモが起きたとして、アメリカはきっとまた動かないだろう。結局、困ったときに動いてくれるのはサウジアラビアだよ。」
現在、当のサウジアラビアはというと、イスラエルとの国交正常化はパレスチナ国家の樹立後になるとの姿勢を崩していない。UAEと異なり国内情勢が不安定化しやすいバーレーンは、自国の安全が確実に保障されない限り、サウジアラビアの対イスラエル政策に追随することになりそうだ。

 

Profile

著者プロフィール
福田健人

コンサルティング会社Prozone Bahrain(バーレーン王国)のDirector/Co-Founder。73カ国を渡航したのちバーレーン王国に移住。Instagram、YouTubeでそれぞれ1万人以上のアラブ人フォロワーを集める。
Instagram: @khalid.japan
Email: kento.fukuta@prozonebh.com

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