コラム

欧米に傾斜しすぎる日本、グローバルサウス争奪戦に参加せよ

2023年09月14日(木)17時14分

日本の外交政策の誤解と修正の必要性

日本は欧米から見れば遠く離れた極東アジアの地にある異国に過ぎない。しかし、当の本人たちは自分たちが対等の立場の一員として扱われていると錯覚している。 特に岸田政権の外交政策の勘違いぶりは、日本の対グローバルサウス外交の強みを決定的に傷つけている。

具体例を挙げるなら、ODA大綱に2023年度に追加された『ジェンダー主流化を含むインクルーシブな社会促進・公正性の確保』の原則」が含まれたことが挙げられる。バイデン政権、欧州各国、人権団体は首肯するかもしれないが、その原則追加について援助対象国が本音で求めているかは疑問だ。日本の対外的な援助が欧米リベラル風に変化して、それを喜ぶ援助対象国など本当にあるのだろうか。表面上の援助歓迎姿勢と実際の本音の差が著しいように感じる。

欧米のリベラルイデオロギーを全面に受容した外交を展開しても、欧米もグローバルサウスも日本を真の友人として受け入れることはないだろう。日本外交は日本人としての知恵を絞ったものに一皮むける必要がある。

プロフィール

渡瀬 裕哉

国際政治アナリスト、早稲田大学招聘研究員
1981年生まれ。早稲田大学大学院公共経営研究科修了。 機関投資家・ヘッジファンド等のプロフェッショナルな投資家向けの米国政治の講師として活躍。日米間のビジネスサポートに取り組み、米国共和党保守派と深い関係を有することからTokyo Tea Partyを創設。全米の保守派指導者が集うFREEPACにおいて日本人初の来賓となった。主な著作は『日本人の知らないトランプ再選のシナリオ』(産学社)、『トランプの黒幕 日本人が知らない共和党保守派の正体』(祥伝社)、『なぜ、成熟した民主主義は分断を生み出すのか』(すばる舎)、『メディアが絶対に知らない2020年の米国と日本』(PHP新書)、『2020年大統領選挙後の世界と日本 ”トランプorバイデン”アメリカの選択』(すばる舎)

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