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再送-インタビュー:ラピダス半導体にIOWN活用も、供給網強靭化=NTT会長

2025年12月15日(月)19時03分

写真はロイターのインタビューに応じるNTTの澤田純会長。12月10日、都内で撮影。REUTERS/Kim Kyung-Hoon

(澤田会長の漢字表記を変更します)

Yukiko Toyoda Kentaro Okasaka

[東京 15日 ロイター] - NTTの澤田純会長はロイターのインタビューに応じ、光技術を使った次世代通信基盤「IOWN(アイオン)」について、先端半導体の量産を目指す出資先のラピダス(東京都千代田区)への活用を模索する考えを示した。開発する半導体の独自性が強まり、日本のサプライチェーン(供給網)強化につながるとした。

澤田会長は日本の半導体産業が大量生産・低価格路線で競争力を失った過去を振り返り、「スケールメリットでは台湾のTSMCや韓国のサムスン電子には勝てない」と指摘。「少量多品種を狙うべき。日本が独特のソリューションをほしいとすれば、ラピダスにはそこを狙っていってほしい」と語った。

ラピダスが手掛ける先端半導体はロボットや無人機(ドローン)、自動運転車、ファクトリーオートメーション(工場自動化)などに使われることが想定され、「そこにぜひ、消費電力を落とすためにも(電気信号と光信号を統合するIOWNの)光電融合をセットしてもらう」と展望を語った。「ユニークなソリューションの物を出していくという意味では、非常にサプライチェーン上の強靭な物を構築できることにもなる」とした。

NTTが本格的な商用化に向け開発を進めるIOWNは、従来の電気信号を光に置き換えることで消費電力を従来の100分の1、伝送容量を125倍、遅延を200分の1にすることを目標にしている。生成AI(人工知能)の普及で電力不足が懸念される中、IOWNの技術が解決策として有効だとNTTは考えている。

まずは機器と機器を光でつなぎ、2028年ごろに半導体チップ間、32年ごろにチップ内の通信を「光化」することを目指す。澤田会長は「遅延のない情報基盤と、電力コスト削減の(両方の)ために光電融合を組み込む『フルセットのIT基盤』をつくるという概念がIOWNとしては一番わかりやすい」と述べた。

遠隔地の映像や音声をほぼ時間差なく伝送できる技術を生かし、大阪・関西万博と台湾の会場とリアルタイムでつなぎ、歌舞伎を上演した。建設や医療現場の遠隔操作や、自動運転などへの活用も期待される。

NTTはIOWN構想を進めるに当たり、2020年に国際組織「IOWNグローバルフォーラム」をソニーグループ、米インテルと設立した。今は通信会社やユーザー企業など約170社・団体に広がっている。また、サーバー内の電気信号を光に置き換える「光電融合スイッチ」の商用化に向け米半導体大手ブロードコムや台湾のアクトン・テクノロジーと組むなど、国際的な連携や協力を広げている。一方、光電融合技術にはエヌビディアなども参入し、開発競争が激化する。

澤田会長は「自社だけでやろうとしてもうまくいかない。一方で全てをオープンにすると力のある企業だけが先行してしまう」とし「リードして共有しながら、同時に競争もする」というスタンスで臨んでいるとした。新たな欧米企業から参画への関心が寄せられているという。

<通信と経済安全保障>

澤田会長は経済安全保障と通信規制のあり方にも言及し、NTT法に基づく従来型の枠組みでは不十分と指摘した。日本の通信市場では複数の大手通信事業者がシェアを分け合う現状を踏まえ、「有事に日本の通信をきちんと保全する観点からは、新しい立て付けが必要だ。NTTを縛っておけば経済安保は大丈夫だというのは飛躍がある」と述べた。

その上で「現行の規制は設備を持つ国内通信事業者にかかっているが、その設備を借りてサービスを提供する事業者には規制が緩い」と指摘。「機微な個人情報の取り扱いはむしろサービス提供事業者の方が多い。ここにはいろんな国の方々がいる。では、ここに規制はどうかかるのか、税金は取れているのかというのは、今まであまり論議されていないポイントだ」とし、経済安全保障の観点から見直しが必要との見方を示した。

澤田会長は10月上旬まで、財界人らでつくる日米経済協議会の会長を務めた。「トランプ大統領のやり方は、日本にとっては良い面もある」とし、日米両政府が合意した5500億ドル(約85兆円)の対米投融資案件も「前向きにとらえれば、関税が高くなる中、日本は向こうの中に入り込んで、市場を取って良いよということ。米国のインナーに投資していくのはポジティブだ。民主党系であれ共和党系であれ、州知事は日本からの投資と連携はウェルカムだ。市場は伸びているから、うまく投資を考えていくべきだ」と話した。

*10日にインタビューしました。

(豊田祐基子、岡坂健太郎 編集:久保信博)

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