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「爆発音なきテロ」──進化する脅威の主戦場はスマホの中に
metamorworks -shutterstock-
<爆破テロは過去のものではない。ただし、次の爆心地はディスプレイの向こう側だ。SNS、AI、暗号通貨──テロリズムは静かに変貌し、スマホという身近な端末の中に戦場を広げつつある>
国際社会ではテロの脅威は終わったとの認識が先行している。しかし、それは終わっておらず新たな段階に入ったというのが現実である。
現代のテロリズムは、技術の進化と地政学的変動により、新たな局面を迎えている。ウクライナ中東における戦争、中国の動向などに焦点が当てられているが、アルカイダやイスラム国(IS)の関連組織は、地域的な勢力拡大を続け、人工知能(AI)やソーシャルメディアを活用したプロパガンダで世界中の過激派を動員している。
一方で、米国をはじめとする西側諸国では、対テロ予算の削減や「対テロ疲れ」が進み、新たな脅威への対応が遅れている。
アルカイダとその地域支部の持続的脅威
アルカイダは、かつての9/11同時多発テロのような大規模攻撃を直接指揮する力は失ったものの、アルカイダを支持する地域的な武装勢力は依然として活発である。特に、ソマリアのアル・シャバブとサヘル地域のジャマア・ヌスラト・ウル・イスラム・ワ・アル・ムスリミン(JNIM)は勢力を拡大している。
グローバル・テロリズム・インデックス(GTI)によると、サヘル地域はテロ事件、死者数、負傷者数、拉致者数で世界のテロの震源地となっており、ブルキナファソ、マリ、ニジェール、ナイジェリア、ソマリア、カメルーンが上位10カ国に名を連ねる。
この地域は4年連続でテロによる死者数が最も多い地域となり、JNIMやイスラム国サヘル州(ISSP)、イスラム国西アフリカ州(ISWAP)が混乱を助長している。
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