コラム

日本の在留外国人が過去最多...... 生活支援の充実を忘れないで

2024年12月16日(月)19時00分
カン・ハンナ(歌人、タレント、国際文化研究者)

それは「新しい外国人材を誘致するのはもちろん大事なことだけれど、まずはいま日本で頑張っている在留外国人により目を向けてほしい」ということだ。外国人材の誘致がいくら成功したとしても、一人一人の外国人が日本での生活に適応できなければ、本人にとっても日本社会にとっても、もったいないことなのだから。

私の周りにいる多くの外国人も母国と離れる覚悟を決め、夢に向かって日本で頑張っている。ただ残念ながら、その中には日本での生活になじめずに自信を失って帰国を選ぶ人も少なくないのが現実だ。それは決して日本社会の問題だとは思わないが、文化や生活習慣が異なる外国人が日本で暮らすときのサポートがそれほど多くないのは、在留外国人たちの間でもよく話題に上がる。


日本で暮らし始めた頃の自分の姿を思い起こすと、当時は日本語をそれほど話せず、区役所や銀行、病院での手続きを詳しく説明してくれる人がいなくて、心が折れそうな経験を何度もした。家を探すのも、新しい環境での働き方も、未来への不安も自分の力でなんとか乗り越えようとしていたが、もう少し社会的サポートがあったらありがたかったのにと、今でも時々思う。

私は運が良く、周りの日本人によるたくさんの助けや応援があったからこそ、今の自分がいる。ここまで在留外国人が増えてきているのであれば、国としても今いる外国人材への支援策をもっと本格的に考えてほしい。

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