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ウクライナ戦争

ロシアに蔓延する「戦争疲れ」がプーチンの立場を揺るがす...「今後の6カ月が正念場」

PUTIN’S SECRET MELANCHOLY

2026年2月20日(金)11時50分
サム・ポトリッキオ (本誌コラムニスト、米ジョージタウン大学教授、元ロシア国家経済・公共政策大統領アカデミー特別教授)
プーチン

国民の怒りが爆発すればプーチン体制も危うい Sputnik/Vyacheslav Prokofyev/Pool-REUTERS

<プーチン体制が続いてきたのは「反政府活動に関わらない限り、生活水準を着実に向上させる」という約束を果たしてきたからだが...>

※この記事は後編です。前編「100万人が死傷、街には戦場帰りの元囚人兵...出口なき戦争で疲弊するロシアの危うい継戦能力」はリンクよりご覧ください。

チャットにあふれる日々の不満

庶民の暮らしも厳しい。かつて私が住んでいたアパートの住民用チャットルームでは、「政府はアフリカ諸国の債務を免除しているが、私が払う公共料金は高くなる一方だ」との不満が投稿された。

【動画】ウクライナ戦争からの帰還兵により、治安が悪化するロシア

ロシア在住時代、ウオッカのつまみによく食べたキュウリの価格は132%も上昇。ビーツは177%、牛ひき肉は76%、牛乳は75%、白パンは80%、トマトは20%。ガソリンの小売価格も12%ほど上がった。


ロシアに12年間暮らした身として、今やアメリカのガソリン価格はロシアよりも安いというニュースは衝撃だった。ロシア人が直面するこうした生活必需品の上昇率は、公式発表のインフレ率(昨年時点で5.6%)をはるかに上回っている。

かつて同じアパートに住んでいた隣人が、戦争による日々の苦労をテレグラムのチャットで熱く訴えていた。「クライアントとの打ち合わせの準備ができなかった。YouTubeの通信速度が制限されていて、必要な動画を見られなかったからだ」と、その人物は書き込んでいた。「そのままオンライン会議に参加したら、中東の取引先とのネット接続が途絶えた。たぶん、ドローン攻撃の警報が出たせいだろう。翌日の会議も、空港が何時間も閉鎖され、フライトがキャンセルされたせいで台無しになった」

こうしたメッセージの多くは、書き込まれても瞬時に削除されてしまう。しかし私が目にした範囲でも、例えば「今度のオリンピックでもロシアのメダルはゼロだな」という冷笑的な書き込みがあった。

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帰還兵の暴力、ドローンの攻撃、止まらないインフレ。国民は疲弊しプーチンの足元も揺らぐ

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