コラム

日本が好きで日本国籍を取得したのに、日本人と扱ってもらえない「元外国人」たち

2022年04月07日(木)17時10分
石野シャハラン
日本の壁

mirsad sarajlic-iStock

<銀行口座を作ろうにも日本人と信じてくれず、キャッシュカードはもらえなかった。日本人であることに誇りを持っているのに理不尽な扱いに悩まされる>

あなたは自分を日本人だと証明できますか? 私の友人や知り合いには、外国出身で日本に長く住み、日本国籍を取得した人が多い。日本が安全で清潔で、外国からも認められる素晴らしい国であることは十分理解した上で、今回は新たに日本人になった人たちにどんな不自由が起こるか書いてみたいと思う。

日本国籍を取得した私の友人は、子どもがちょうど小学校に入る年齢になり小学校から「給食費の支払いのため、〇〇信用金庫に口座を開設するように」と言われた。友人はその信用金庫に赴いて口座を作りたいと申し出たが、外国人登録証を見せるように言われた。

友人は日本人なので、もちろん在留カードなどのような登録証は持っていない。友人がそう言うと、窓口の人からは奥に相談に行った上で「あなたが日本人だということをどうしたら信じられるか」と言われたという。運転免許証を見せて説明し、なんとか口座は作ることができたが、キャッシュカードは作ってもらえなかったという。

「あなたがマネーロンダリングをするかもしれないから」というのが理由だそうである。戸籍謄本を見せてくれれば信用できるかもしれない、とも言われたそうだが、たかだか口座のためにそこまでの個人情報を明かすことはできない。

「外国人生徒にはいつもそうしている」

困っていることを小学校に伝えると、教員が「私たちが一緒に行けば問題ない、外国人生徒の家庭にはいつもそうしている」と言われたが、友人は外国人ではない。日本人なのであり、日本人であることに誇りを持っているので、そういう扱いはされたくない。なかなか理不尽な状況だ。

日本国籍者は運転免許証の提示のみで口座を作ることができる、という金融機関側が定めたルールを彼ら自身が守らないのはおかしな話だ。そして友人の見た目でマネーロンダリングを行う恐れがあると判断したのなら、その意図はなかったとしても、大変差別的だと言わざるを得ない。

私は、このような対応をする人たちに悪意があるとは思わないし、思いたくない。外国人から日本国籍取得者になった人がまれであるためにそれまで対応したことがないことと、日本国籍取得者が一般の日本人と全く同じ身分証しか持ち得ないことがどこからも周知されていないこと、この2点がこうした対応の理由だと考えられる。

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