菅首相の会見、アドリブも鋭い質問も大歓迎な米仏の大統領とこんなに違う
本人も気にしたのだろう。改善された部分があるのは事実だ。最近はプロンプターを使って、より自然に話せるようになった。質問に答える際には事前準備のおかげで、メモを読んでもアドリブっぽくなった。ただ完全にアドリブではない。カメラがないときには普通に話せると思うが、なぜか会見では緊張し過ぎる気がする。
結果的に、記者クラブの記者とは異なり事前にスタッフに質問を伝えないフリージャーナリストと外国記者の質問に対して、首相はメモの中の一部をピックアップして質問と関係ないことを答えてしまう。民主主義大国の首脳としてあり得ないと私は思うが、それは菅首相だけではない。安倍晋三前首相も同じだった。日本の大手マスコミの責任もある。満足できる回答がない限り、同じ質問を繰り返してもいいと思う。
そんな日本の首相がアメリカやフランスの大統領と共同記者会見をすると、違いがあまりにも目立つ。米仏の大統領はアドリブでいくらでも話せるし、厳しい質問を避けようとしない。むしろ彼らは鋭い質問が好きかもしれない。菅首相は真逆。緊張感が強過ぎて、以前に言ったことを繰り返す場面が多いし、質問に直接答えない。
日本のイメージにとってマイナスでしかない。
西村カリン
KARYN NISHIMURA
1970年フランス生まれ。パリ第8大学で学び、ラジオ局などを経て1997年に来日。AFP通信東京特派員となり、現在はフリージャーナリストとして活動。著書に『不便でも気にしないフランス人、便利なのに不安な日本人』など。
2024年4月23日号(4月16日発売)は「老人極貧社会 韓国」特集。老人貧困率は先進国最悪。過酷バイトに食料配給……繫栄から取り残され困窮する高齢者は日本の未来の姿
※バックナンバーが読み放題となる定期購読はこちら
便利なキャッシュレス社会で、忘れられていること 2024.04.18
温泉じゃなく銭湯! 外国人も魅了する銭湯という日本の極楽 2024.04.11
「無罪の推定」を無視する日本のマスコミ報道には違和感しかない 2024.04.06
ウォシュレットや炊飯器は「序の口」...ジョージア大使の「最強のおもてなし術」とは? 2024.03.30
株価は最高値更新なのに、日本人の気分は暗すぎる...このギャップをどう考える? 2024.03.17
いま、紹興酒が日本でブーム!(の兆し) 「女児紅」「孔乙己」知ってる? 2024.02.29
26歳の医師が過労自殺した件で、私たちが知らなくてはならないこと 2024.02.17