コラム

東京五輪は「どんな感染状況でもやる」のか?

2021年02月24日(水)15時40分
西村カリン(ジャーナリスト)

この点に関して、マスコミももっと政府を追及すべきだと思う。「東京五輪をやりたいからやる」と言う政府に対し、この状況では無理だと思ったら社会は抗議しないとおかしい。

もう1つの問題を取り上げたい。「安全で安心な」東京五輪を開催するために、政府は来日する外国の報道関係者を対象に、いくつかの感染防止策を検討している。移動の制限、交通機関の利用禁止、あるいはバーやレストランに行くことの禁止などだ。

外国の記者が日本に来たら、オリンピック以外の取材をすることも仕事の一部だ。だから、現時点で検討されているルールは報道の自由に反する恐れがあると私は思う。例えば、オリンピックの間に大きな事件やデモが起きた場合、外国の記者に「取材はダメ」と言うのか。

また、記者全員がルールを守っているかをどうやって確認するのか。ルールに反したら、何か罰則を受けるのか。

安全で安心な東京五輪を理由に、政府が望んでいるメディアコントロールにつながるリスクがあるなら、記者が五輪をボイコットするのも1つの選択肢だと思う。

magTokyoEye_Nishimura.jpg西村カリン
KARYN NISHIMURA
1970年フランス生まれ。パリ第8大学で学び、ラジオ局などを経て1997年に来日。AFP通信東京特派員となり、現在はフリージャーナリストとして活動。著書に『不便でも気にしないフランス人、便利なのに不安な日本人』など。

<本誌2021年2月23日号掲載>

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