韓国「父姓主義」への違和感と日本の夫婦別姓問題
ただ、今はどの国においても男女がより平等になり、また家族や夫婦の在り方について多様性を認める方向に社会が変化していくのが大きな流れだ。姓の問題もそうした状況に合わせ、個人の選択肢を広げる方向で制度を変えていくのが筋だと思う。
そう考えると「選択的夫婦別姓」をめぐる日本の変化は、随分遅い。法相の諮問機関である法制審議会が、別姓制度の導入を最初に答申したのが1996年だという。今年の1月の朝日新聞の全国世論調査によると、別姓制度への賛成が69%、反対が24%、特に50歳以下の女性は8割以上が賛成だ。最近では、橋本聖子・男女共同参画担当相が、別姓制度を「前向きに検討する」と述べたとも報じられた。
夫婦別姓制度の是非は日本国民が決めるべきことだ。しかし24年間も議論を続け、世論調査で7割の支持があり、閣僚も「前向きだ」と言っているなら、もう制度を変える客観的な条件がそろっているように見えるのだが、間違っているだろうか。
李 娜兀
NAOHL LEE
国際交流コーディネーター・通訳。ソウル生まれ。幼少期をアメリカで過ごす。韓国外国語大学卒、慶應義塾大学大学院法学研究科博士課程単位取得(政治学専攻)。大学で国際交流に携わる。2人の子供の母。
<2020年11月17日号掲載>

アマゾンに飛びます
2025年6月24日号(6月17日発売)は「コメ高騰の真犯人」特集。なぜコメの価格は突然上がり、これからどうなるのか? コメ高騰の原因と「犯人」を探る
※バックナンバーが読み放題となる定期購読はこちら
在日外国人は米に困っていないし、「令和のコメ騒動」に無関心 2025.06.16
大阪万博は特に外国人の評判が最悪...「デジタル化未満」の残念ジャパンの見本市だ 2025.06.10
コメ価格高騰で放映される連続ドラマ『進次郎の備蓄米』にうんざり 2025.06.07
誕生日は「文化の鏡」である...「ミニフェスのような誕生会」から見えた「個人」と「社会」 2025.06.06
日本はもう「ゼロパンダ」でいいんじゃない? 和歌山、上野...中国返還のその先 2025.05.16
日本の「治安神話」崩壊...犯罪増加と「生き甲斐」ブームの関係 2025.05.07