コラム

世界のジブリ人気は(実は)今が最高潮

2025年08月07日(木)18時00分

ロンドンで公演中の舞台版『となりのトトロ』 TADASHI SUDO

<この夏、高畑勲への注目ががぜん高まっているが、世界のジブリ人気もいま過去最高に盛り上がっている>

アニメの巨匠・高畑勲の話題が増えている。7月にスタジオジブリ作品として初めて代表作『火垂るの墓』がネットフリックスで国内配信され、テレビでも終戦の日に7年ぶりに地上波ゴールデンタイムでの放送が決まった。

この夏、都内では『高畑勲展』が開催され、秋からはパリでも大型回顧展が予定されている。ジブリはこれまで宮﨑駿の話題が多かった印象があるが、高畑勲への注目ががぜん高まってきた。


海外では昨年、ネットフリックスで『火垂るの墓』の配信を開始したところ、旧作としては異例の視聴数となり配信初週に世界ランキングTOP10にランクイン。戦争を題材にした幼い兄妹の過酷な運命への反響の大きさはSNSなどからも分かる。

再評価に時間がかかったのは、筆者自身も同じだった。最初に『火垂るの墓』を見た時は、あまりにも辛い結末にもう二度と見ないと思った。ところが不思議なことに『かぐや姫の物語』など他の作品に触れることで関心が増し、結局は何度も見返している。

時間が経過するなかで細かな演出の素晴らしさ、物語だけでないアニメ作家としての巧みさに気付かされる。時間をかけて世に広がっていくのが高畑勲なのだ。

ロンドンでロングラン公演中の『となりのトトロ』

時間をかけて海外に広がったのは、ジブリも同じだ。この夏、ロンドンでロングラン中の舞台『となりのトトロ』を見た。夜の空中散歩、ネコバスといったアニメならではの表現をどう再現するか気になっていたが、インパクトのある手法であっと驚かせる。さすがイギリスを代表するロイヤル・シェークスピア・カンパニーの演出だ。

劇場では子供連れや若者、夫婦の姿が見られ、幅広い層からの人気を感じられた。演劇の街ロンドンで日本アニメ原作の舞台が、これほど支持されることにも驚いた。

プロフィール

数土直志

Tadashi Sudo
ジャーナリスト。メキシコ生まれ。証券会社勤務を経て、2004年にアニメ情報サイトを設立。12年にサイトを売却し、その後はエンターテインメント分野で執筆活動中。

あわせて読みたい
ニュース速報

ワールド

コロンビア外相「領土と主権守る」、トランプ氏の侵攻

ワールド

オマーン、国際金融センター設立計画を発表

ワールド

再送-米議会襲撃5年、トランプ氏が調査や報道批判 

ビジネス

新発30年債利回りが3.51%に上昇、過去最高水準
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:AI兵士の新しい戦争
特集:AI兵士の新しい戦争
2026年1月13日号(1/ 6発売)

ヒューマノイド・ロボット「ファントムMK1」がアメリカの戦場と戦争をこう変える

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」はどこ?【2025年の話題クイズ5選】
  • 2
    【クイズ】世界で唯一「蚊のいない国」はどこ?【2025年の話題クイズ5選】
  • 3
    日本も他人事じゃない? デジタル先進国デンマークが「手紙配達」をやめた理由
  • 4
    「見ないで!」お風呂に閉じこもる姉妹...警告を無視…
  • 5
    トランプがベネズエラで大幅に書き換えた「モンロー…
  • 6
    「悪夢だ...」バリ島のホテルのトイレで「まさかの事…
  • 7
    若者の17%が就職できない?...中国の最新統計が示し…
  • 8
    眠る筋力を覚醒させる技術「ブレーシング」とは?...…
  • 9
    砂漠化率77%...中国の「最新技術」はモンゴルの遊牧…
  • 10
    衛星画像で見る「消し炭」の軍事施設...ベネズエラで…
  • 1
    前進するロシア、忍び寄る限界...勝者に見えるプーチン、その先は袋小路か
  • 2
    中国軍の挑発に口を閉ざす韓国軍の危うい実態 「沈黙」は抑止かそれとも無能?
  • 3
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」はどこ?【2025年の話題クイズ5選】
  • 4
    「腸が弱ると全身が乱れる」...消化器専門医がすすめ…
  • 5
    眠る筋力を覚醒させる技術「ブレーシング」とは?...…
  • 6
    ウクライナ水中ドローンが、ロシア潜水艦を爆破...「…
  • 7
    アジアの豊かな国ランキング、日本は6位──IMF予測
  • 8
    マイナ保険証があれば「おくすり手帳は要らない」と…
  • 9
    アメリカ、中国に台湾圧力停止を求める
  • 10
    世界最大の都市ランキング...1位だった「東京」が3位…
  • 1
    日本がゲームチェンジャーの高出力レーザー兵器を艦載、海上での実戦試験へ
  • 2
    90代でも元気な人が「必ず動かしている体の部位」とは何か...血管の名医がたどり着いた長生きの共通点
  • 3
    ウクライナ水中ドローンが、ロシア潜水艦を爆破...「史上初の攻撃成功」の裏に、戦略的な「事前攻撃」
  • 4
    アジアの豊かな国ランキング、日本は6位──IMF予測
  • 5
    人口減少が止まらない中国で、政府が少子化対策の切…
  • 6
    日本の「クマ問題」、ドイツの「問題クマ」比較...だ…
  • 7
    「腸が弱ると全身が乱れる」...消化器専門医がすすめ…
  • 8
    『SHOGUN 将軍』の成功は嬉しいが...岡田准一が目指…
  • 9
    「勇気ある選択」をと、IMFも警告...中国、輸出入と…
  • 10
    前進するロシア、忍び寄る限界...勝者に見えるプーチ…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story