総裁選の裏側で進む「静かな戦争」...「自公維」か「非連立」か
背景には自公維が安定政権を築くことで、党の政策実現が遠のくことへの危機感がある。野党でありながら当初予算案に賛成するなど、与党への協力と引き換えに政策実現を模索してきたこれまでの戦略が通用しなくなるからだ。党幹部は「自公維政権となれば10年は政権が安定するかもしれない。そうなれば日本の改革は10年遅れる」と話す。
とはいえ、即座に連立入りを目指せるほど党内外の調整が進んでいるとは言えず、時間をかけて環境を整えたいのが本音だ。前出の幹部は「自民は来年度予算案を通すために維新との連携を急いでいる」と指摘。ガソリン暫定税率の廃止や「年収の壁」引き上げに関する昨年末の自公国幹事長合意を引き合いに、「自公が合意事項を進めれば我々が来年度予算案に賛成することもあり得る。選挙で議席を伸ばせなかった維新と組む『負け組連合』では真の政権安定とはならない」と強調した。
こうした維新と国民民主の動きに対し、野党第1党の立憲民主党は野党間の連携模索を優先する構えだ。総裁選の候補者は連立・連携の条件に原発推進や憲法改正など基本政策の一致を掲げており、立憲にとって与党入りは現実的とは言えない。ある幹部は「維新や国民民主が与党に近づけば差別化できてむしろ好都合だ」とした上で、「給付付き税額控除の与野党協議を維持して政策実現を目指していく」と話した。
(鬼原民幸、杉山健太郎 編集:橋本浩)


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