「稼げる」はずの豪ワーホリで搾取される日本人..給与は「最低賃金の3分の1」以下、未払いも

EXPLOITED ABROAD

2025年9月5日(金)18時01分
本田 歩(NNAオーストラリア記者、シドニー在住)

ワーホリ労働者はFEGの保護の対象外と通達するオーストラリア政府による書類

豪政府当局から高橋宛ての書類は、ワーホリ労働者はFEGの保護の対象外と通達

10月頭を最後に、高橋への給与支払いは完全に止まった。高橋は同僚と匿名で「フェアワーク・オンブズマン(FWO)」に通報するも、音沙汰はなかった。

「いつかは支払われるだろう」と、2回目のワーキングビザ取得のために88日間の労働日数を満たそうと勤務を続けていたが、ある日シェアメイトの韓国人から、「雇用主が破産しているかもしれない」と聞かされた。シェアメイトと共に、高橋は辞める意志を固めた。


10週間働いたが、賃金が支払われたのは4週間分のみだった。6週間分の勤務が未払いとなり、その額は合わせて約60万円に上るという。

高橋は、その後実名でFWOに被害を申告。FWOからは「翌年1月末までに未払いが解消されなければ、ペナルティーを科すと元雇用主に警告した」と伝えられた。

しかし今年2月に届いたメールには、「元雇用先は既に破産状態のため、FWOが強制的に未払い給与を支払わせることはできない。今後は先方の清算人と直接やりとりを行ってほしい」と記されていた。

オーストラリアには労働者を保護するための最後のとりでとされる「Fair Entitlements Guarantee(FEG)」という制度がある。企業の倒産時に、未払い賃金などの法定労働条件(エンタイトルメント)を政府機関が立て替えるためのものだ。

高橋は、清算人から紹介を受け、2月末にFEGへ申請を行ったが、またしても政府の支援の手からこぼれることになった。

返ってきた返事は、(ワーホリビザ保持者は)「一時滞在者であるため対象外」。清算人に代替手段を尋ねたが、他の保証制度は存在しないとのことだった。

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