ワーホリ先で毎日8~10時間除草剤をまく日本人
気温38度の農場で毎日8~10時間除草剤をまいた坂本

クイーンズランド州の規定では、有害化学物質の扱いがある場合、雇用主には労働者への手袋や耐薬品性の靴など安全装備の支給や安全研修の実施が義務付けられているが、「装備の支給や講習はなかった」と坂本は証言する。

「雑草にかけて、苗にはかけないように」とだけ言われ、1カ月半がたとうとする頃にはブーツが「ぐちゃぐちゃに柔らかくなった」。

農場での勤務期間を終了し、シドニーに戻ってきた坂本は爪の異常に気付いた。「爪は3層で構成されていると思うんですけど、日に日に1層ずつなくなりました。最終的に、両方の足全てで爪がなくなって、やはりすごい薬だったんだなと思いました」

なぜ岡野や坂本は、劣悪な労働環境にありながらも働き続けたのだろうか。その背景には、ワーホリが本来の「文化交流の促進」という目的を離れ、実質的に1次産業の人手不足を補うための「労働力供給装置」として機能しているという構造的な問題がある。

オーストラリアのワーホリ制度は1年ごとに更新でき、世界的に見ても異例の「最長3年間の滞在」を可能にしている。ただし、2年目や3年目のビザを申請するためには、事前に地方での農業などの指定の仕事に一定期間従事することが条件だ(2年目のビザを申請するには1年目に88日間以上)。

この条件が導入された05年以降、果物や野菜の収穫・梱包など季節的な労働需要が高い現場では、ワーホリ労働者への依存が急激に高まった。

オーストラリア農業は「ワーホリ労働者」に依存
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