「4針ですかね、縫いました」日本の若者を食い物にする「豪ワーホリのリアル」...アジア出身者を意図的にターゲットに

EXPLOITED ABROAD

2025年9月5日(金)17時10分
本田 歩(NNAオーストラリア記者、シドニー在住)

ワーホリ先の重労働で剥がれた爪

岡野の爪 COURTESY OF TOSHIHIRO OKANO

23年から24年にかけて、日本の大手メディアは「『安いニッポンから海外出稼ぎへ』~稼げる国を目指す若者たち~」「豪ワーホリに日本の若者殺到 工場で月50万円稼ぎ描く夢」などのタイトルで、高時給のオーストラリアでのワーホリを「経済的チャンス」として華々しく報じた。

日本人の豪ワーホリビザ取得数は、コロナ禍の制限が少しずつ緩和された22年頃から急増し、24年6月までの1年間で1万7095件に上った。


停滞する日本の賃金水準と対照的に、毎年引き上げられるオーストラリアの最低賃金(現時点で時給24.95豪ドル)は、日本経済に不安を持つ多くの若者を引き付けている。

確かに岡野は十分な貯金ができた。だが筆者から見れば彼の生々しい傷と報じられていたワーホリのきらびやかなイメージは、懸け離れているように思えた。

ドラゴンフルーツの収穫

ドラゴンフルーツの収穫も経験した岡野 COURTESY OF TOSHIHIRO OKANO

豪ワーホリの構造的問題

労働者の安全が軽視され、リスクと隣り合わせの環境で働いたのは岡野だけではない。坂本正人(仮名、26歳)は、23年1月まで約3カ月間、オーストラリア北東部、クイーンズランド州のカブルチャーという町のイチゴ農場で過ごした。

当初は、イチゴやラズベリーの収穫業務をしていたが、後半の1カ月半は、除草剤の散布作業を命じられた。坂本は気温38度の猛暑の中、15リットルの除草剤が入ったタンクを背負い、毎日8~10時間散布を続けた。この時の格好は果物の収穫時と同じ、作業靴に動きやすい服だったという。

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