戦後5年、日本はどんな国に?──再武装か経済優先か、Newsweekが報じた「西側入りの岐路」とは?【note限定公開記事】
Late Enemy into the Latest Ally

吉田は同盟国との講和条約と同時に米軍駐留を認める日米安保条約にも署名した BETTMANN/GETTY IMAGES
<国の進路をめぐる議論は国内外で揺れていた。米Newsweek誌の当時の記事は、戦後日本が直面した現実と、世界が見た「日本の進路」を鮮明に記録している>
「日本の未来は西側と共にある」
日本国内でも平和条約に関する議論がアメリカ同様に巻き起こっている。
(共産主義の)ロシアと中国を排除した平和条約ならしないほうがいいという主張もあり、他方では日本は新憲法に基づいて恒久的に軍事力を持たない「アジアのスイス」になるべきだという主張もあった。
しかし日本の政策は世論で決まるわけではない。平和条約と再軍備の方針は既に決定しており、世論の動向は国内外に向けたパフォーマンスでしかない。
例えば吉田は先週、日本は「全面的に国連の側」にあり、また日本の再軍備は「成熟した審議とともに慎重な取り扱い」が必要だと述べている。
日本はどのような西側同盟国になるのか?
日本は先の戦争で、最後まで戦い抜く意思があること、組織力を必要とする現代的な海軍・空軍を作戦で動かせること、東洋でも第1級の産業工場と大規模な技能労働力を持ち得ること、天皇制の下で高度な社会的連帯を持つ世界最高の規律ある民族であること、を示した。
これら長所とともに深刻な脆弱さも抱えているが、それでも日本は極東で最も手ごわい国家だ。さらに日本の、占領下の賢明な態度と朝鮮戦争での協力で、アメリカは将来の同盟国としての信頼を寄せている。
しかしこの新たな同盟関係が機能する上では、以下の2つの根本的な問題が解決されなければならない。
日本の防衛をどうするか
日本はアメリカにとって極東での海空防衛の「北の錨(いかり)」であり、最重要拠点だ。沖縄や台湾の基地を失えば、その防衛線が破られ、日本包囲網が出現しかねない。
しかし日本の防衛は、イギリスの防衛と同様、近接する広大な大陸に対峙する「島嶼防衛(とうしょぼうえい)」を意味する。
現在の主要な危険は、サハリンと北海道の間の宗谷海峡、またもっと近いクリル諸島(北方領土)からのロシアの攻撃だ。
朝鮮戦争によって日本から米軍部隊ははぎ取られたが、7万5000人の警察予備隊が期待以上に急速に進歩している。隊員の半数は旧日本軍の元軍人だ。
日本はまず、できるだけ早く陸上防衛を固めなければならない。さらに日本は、人員と小型艇での貢献ができるだろう。朝鮮戦争の国連軍の機雷掃討、戦車揚陸では、多くの作業を日本が担った。
また、既に日本の人員は連合軍の空軍基地で活用されているが、日本は航空防衛にも参加することになるだろう。
経済復興とのバランスは?
朝鮮戦争は日本の防衛を強化したのと同様に、日本経済も活性化させた。例えば日本の銀行家は、アメリカからの戦争受注によって、現状の日本の貿易収支はおそらく好ましい状態にあるとみている。
※本文中のファクトは本誌米国版に記事が掲載された当時のままとしています。
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