最新記事
日本政治

反ワクチンのカリスマを追放し、豊田真由子を抜擢...参政党拡大のため神谷が行った「大博打」

THE SANSEITO SURGE

2025年11月15日(土)08時00分
広野真嗣(ノンフィクション作家)
参政党に新加入した豊田

参政党に新加入した豊田が取材に答える(本誌編集部のオフィスビルにて) TORU YAGUCHI FOR NEWSWEEK JAPAN

<過激な主張を穏健化し、結党メンバーをも「損切り」し、地上波向けにアップデートを図る神谷代表。ただ、急拡大したために弱点も抱えている>

※本記事は4本構成の第4弾です。第1~3弾は以下よりご覧ください。

第1弾:「嘘つき」「極右」 嫌われる参政党が、それでも熱狂を生む理由...神谷代表が語った「分断」とは?

第2弾:「日本人ファースト」「オーガニック右翼」というイメージは誤解? 参政党を支える「意外な支持層」とは

第3弾:自民党を去りドン底も経験...参政党の神谷が今、政治を動かす「巨人」にまで成り上がった変貌劇

第4章 異端児からの脱皮

23年11月、神谷は党のアドバイザーで中部大学客員教授の武田邦彦、共同代表だった吉野、赤尾を切り離した。武田も吉野同様、反ワクチンや反マスクを主張し、動画ニュースで高い人気を誇った人物だが、組織のハンドルを握る神谷との対立の末に除籍に追い込まれる。結党メンバーだった篠原は嘆息する。

「神谷さんは人の塊という『リンゴ』を見ると、裏に虫が食っていようがすぐ手が出る。結局、吉野さんや武田さんの下に集まる支持者やファンを欲しがったわけです。けれど、それが後でトラブルになる」


武田は地域政党「減税日本」の河村たかし代表(前名古屋市長)を党に引き入れようとし、神谷が反対したことが対立の芽となった。他方、吉野との対立の中心命題は吉野が全否定してきたワクチンだ。

22年参院選後に参政党は「全てのワクチンに反対しているのではない(問題にしているのは新しいmRNAワクチンのみ)」という路線を明確化した。要するに、反ワクチンの主張を穏健化させ、永田町や霞が関で通用するぎりぎりのラインで整理整頓した。そして、全ワクチン反対の吉野には「賞味期限が切れているからもう(身を)お引きください」と三くだり半を突き付けたのだ。

ビジネス
「個人的な欲望」から誕生した大人気店の秘密...平野紗季子が明かす「愛されるブランド」の作り方
あわせて読みたい
ニュース速報

ワールド

中国軍、台湾周辺で実弾射撃訓練開始 演習2日目

ワールド

キーウ郊外で停電続く、ロシア空爆後 住民は避難所で

ワールド

香港、民間住宅用地供給が増加見通し 市場の回復基調

ワールド

ゼレンスキー氏「プーチン氏を信頼せず」、勝利に米の
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:ISSUES 2026
特集:ISSUES 2026
2025年12月30日/2026年1月 6日号(12/23発売)

トランプの黄昏/中国AI/米なきアジア安全保障/核使用の現実味......世界の論点とキーパーソン

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    マイナ保険証があれば「おくすり手帳は要らない」と考える人が知らない事実
  • 2
    ウクライナ水中ドローンが、ロシア潜水艦を爆破...「史上初の攻撃成功」の裏に、戦略的な「事前攻撃」
  • 3
    アジアの豊かな国ランキング、日本は6位──IMF予測
  • 4
    なぜ筋肉を鍛えても速くならないのか?...スピードの…
  • 5
    「サイエンス少年ではなかった」 テニス漬けの学生…
  • 6
    「すでに気に入っている」...ジョージアの大臣が来日…
  • 7
    【銘柄】子会社が起訴された東京エレクトロン...それ…
  • 8
    90代でも元気な人が「必ず動かしている体の部位」と…
  • 9
    『SHOGUN 将軍』の成功は嬉しいが...岡田准一が目指…
  • 10
    海水魚も淡水魚も一緒に飼育でき、水交換も不要...ど…
  • 1
    90代でも元気な人が「必ず動かしている体の部位」とは何か...血管の名医がたどり着いた長生きの共通点
  • 2
    アジアの豊かな国ランキング、日本は6位──IMF予測
  • 3
    ウクライナ水中ドローンが、ロシア潜水艦を爆破...「史上初の攻撃成功」の裏に、戦略的な「事前攻撃」
  • 4
    『SHOGUN 将軍』の成功は嬉しいが...岡田准一が目指…
  • 5
    中国、インドをWTOに提訴...一体なぜ?
  • 6
    海水魚も淡水魚も一緒に飼育でき、水交換も不要...ど…
  • 7
    マイナ保険証があれば「おくすり手帳は要らない」と…
  • 8
    批評家たちが選ぶ「2025年最高の映画」TOP10...満足…
  • 9
    アベノミクス以降の日本経済は「異常」だった...10年…
  • 10
    素粒子では「宇宙の根源」に迫れない...理論物理学者…
  • 1
    日本がゲームチェンジャーの高出力レーザー兵器を艦載、海上での実戦試験へ
  • 2
    90代でも元気な人が「必ず動かしている体の部位」とは何か...血管の名医がたどり着いた長生きの共通点
  • 3
    アジアの豊かな国ランキング、日本は6位──IMF予測
  • 4
    人口減少が止まらない中国で、政府が少子化対策の切…
  • 5
    ウクライナ水中ドローンが、ロシア潜水艦を爆破...「…
  • 6
    日本人には「当たり前」? 外国人が富士山で目にした…
  • 7
    【銘柄】オリエンタルランドが急落...日中対立が株価…
  • 8
    日本の「クマ問題」、ドイツの「問題クマ」比較...だ…
  • 9
    『SHOGUN 将軍』の成功は嬉しいが...岡田准一が目指…
  • 10
    「勇気ある選択」をと、IMFも警告...中国、輸出入と…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中