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「日本人ファースト」「オーガニック右翼」というイメージは誤解? 参政党を支える「意外な支持層」とは

THE SANSEITO SURGE

2025年11月13日(木)17時50分
広野真嗣(ノンフィクション作家)
参政党新人候補の街頭演説に集まった反対派

参政党新人候補の街頭演説に集まった反対派は「ヘイト」「排外主義」と批判(7月18日、大阪府) AFLO

<自民党の岩盤保守層が参政党に乗り換えたという言説がまことしやかにささやかれているが...>

※本記事は4本構成の第2弾です。第1弾は以下よりご覧ください。

第1弾:「嘘つき」「極右」 嫌われる参政党が、それでも熱狂を生む理由...神谷代表が語った「分断」とは?


第1章 参政党を生んだもの

「『日本人ファースト』が受けたというのは誤解ですよ」

そう強調したのは保守論壇で活動し、多くの参政党支持者と接してきた評論家の古谷経衡(つねひら)だ。


「今回参政党が得票したのは、国民民主党の支持層、れいわ新選組の支持層、新規の支持層の3つに分けられると思います。自民党から離れた岩盤保守層が移行したというのは全くの間違い」

ヒントは1議席をめぐって自民党現職を2万8000票差まで追い詰めた群馬県選挙区のデータだ。朝日新聞の出口調査分析によれば(7月22日公開)、国民支持層の59%、れいわ支持層の57%が参政党に投じたのに対し、自民党支持層では15%にすぎない。全国の比例得票に演繹すれば、新たに伸びた約550万票のうち、ざっくりその4割の約250万票は国民とれいわの支持層からの移行、300万票は新たに参政党支持に回った人々だと古谷はみる。

「彼らに受けたのは、消費税撤廃・給付金の支給と積極財政だと思います。参政党より1年早い19年に結党したれいわが老舗の政策ですが、参政党が途中から反グローバリズムや積極財政を打ち出してから、れいわ支持の一部の塊が、新しく出てきた参政党に移ったのだと思います」

消費税ゼロは物価高に悩む有権者にとって聞こえのよい政策だが、「あれ?」とも思う。原発推進やスパイ防止法など参政党と共通する政策もある国民民主党からのシフトならまだ分かる。しかし護憲であり反原発といった基本政策で相いれそうにないれいわから乗り換える人にハードルはないのか。「日本人ファースト」が右派的であるとすれば、左から右への転向なのか。そう聞くと古谷は苦笑した。

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