「イギリス料理がマズい理由」 歴史と階級が奪った「うま味」の話
産業革命でさらに事態は悪化
18世紀後半、イギリスで産業革命が起こりました。産業革命は、工場制機械工業によって大量生産が可能となった時代です。これによって都市部においては仕事が増えました。
都市部では、就業機会の増加によって可容人口が大きくなりました。そして農村部から多くの人たちが都市部へと流入します。これは都市部、特にロンドンの過密を招きました。都市の過密はさまざまな都市問題を引き起こします。後に、エベネザー・ハワードによって提唱された「田園都市構想」はこれを背景としています。
農村部に人が多かったときは自給自足が可能だったわけですが、都市部で人口が増えるとお店で食材を買いそろえる必要が出てきます。お金のない低所得者層は、ろくな食事をとることができず、日頃の過酷な仕事によって栄養状態は悪化していきました。
フィッシュアンドチップスの登場
19世紀半ばになると、トロール漁法が発明されました。これによって魚が都市部にも流通するようになり、フィッシュフライとフライドポテトをセットで提供する料理(フィッシュアンドチップス)が出回るようになりました。
今でいうファストフードですね。「ただ焼くだけ」、あるいは「ただ茹でるだけ」といった料理しか食べられなかった低所得者層にとって、フィッシュアンドチップスはありがたい食べ物でした。
一方、ジェントルマンは相変わらず「ジェントルマンはかくあるべし!」といった精神をさらに深化させていきます。文化は上から下へと伝達していきます。しかし、イギリスでは支配階層であったジェントルマンが質素な食事を好んだことから、イギリス料理は発展しませんでした。
また若者が家を離れ、他の家庭に住み込み、家事に従事するサーヴァント制度というものがありました。いわば、社会に出る前の修業のようなものです。
食事を作るのも仕事でしたが、料理経験のない若者が作る料理がおいしいでしょうか。いわゆる「おふくろの味」が継承されることはなかったのです。こうしてイギリス料理は今に至るのです。
(本原稿は『経済は地理から学べ!【全面改訂版】』を一部抜粋・編集したものです)
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