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「愚か者」はクビ? FRB議長「解任の噂」に揺れるアメリカ経済、ドルも一気に下落

Fed Up with the Fed

2025年7月23日(水)13時25分
ヘスス・メサ(政治担当)

パウエル解任は法的・経済的・政治的に何を意味するのか。報道以来、激しい論議が巻き起こっている。

「問題は中間選挙が(来年に)迫っていることだ」と、ジョージ・ワシントン大学政治大学院のトッド・ベルト教授は指摘する。


選挙シーズンが近づくなか、特に物価が高止まりして、金利が20年ぶりの高水準にある現状では、パウエルが選挙戦の足を引っぱるとの見方がトランプチーム内部で強くなる一方だという。

トランプの不満の主な原因は、選挙に間に合うタイミングで成長率を押し上げたいのに、パウエルが迅速な利下げを拒んでいることだ。FRBは今年5月、政策金利の誘導目標を4.25~4.5%に据え置くと決定。これに対して、トランプは「少なくとも3ポイント高すぎる」と主張している。

トランプの考えでは、自らの支持者(スコット・ベッセント財務長官など)をFRB議長にすれば、借り入れコストが低下し、中間選挙前に経済成長を実現できる。

だが、この計画は経済の基本を無視している。金利を強引に引き下げれば、既にFRBの目標の2%を上回っているインフレ率がさらに上昇しかねない。

パウエル解任の噂は市場に衝撃を与えた。ドル下落などの反応は、FRBが政治的圧力に屈して、信頼性を失うことへの懸念を反映している。

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