最新記事
BOOKS

千葉県の元市長、「年収3倍」等に惹かれ、国政に打って出たときの顛末

2025年7月12日(土)12時15分
印南敦史(作家、書評家)
選挙活動を行う政治家

写真はイメージです imacoconut-shutterstock

<鎌ヶ谷市で市長を5期務めた著者による『市長たじたじ日記』。公人の本音がうかがえ、選挙のリアリティも実感できる1冊だが...>

交通誘導員から大学教授までバラエティも豊かな「日記シリーズ」は、いつも楽しく読ませていただいている。いうまでもなく、さまざまな仕事に就く人たちの本音を知ることができる面白さがあるからだ。正体を隠すべく(あくまで便宜的に、だが)偽名にしてある点もまたご愛嬌である。

だが、『市長たじたじ日記――落下傘候補から、5期19年、市長務めました』(清水聖士・著、フォレスト出版)の場合はまずそこが違う。要するに本名で執筆しているのだ。簡単な話で、公人だ(った)からである。


 私は2002年に落下傘候補として千葉県鎌ヶ谷市の市長選挙に立候補し、市長に就任した。以来、5期19年にわたって市長の職にあり、その間には千葉県市長会会長も務めた。詳しくは第4章で述べるとおり、ある出来事をきっかけに市長を辞職し、2021年の衆議院選挙に出馬したものの落選し、職を失った。(「まえがき――政治家の本が面白くないわけ」より)

伊藤忠商事から外務省に転職し、在インド日本国大使館の書記官として海外勤務を続けていたという経歴の持ち主。伊藤忠商事の費用負担で留学したペンシルベニア大学ウォートンスクールでMBAを取得して帰国した頃、当時存在していたJR津田沼パルコ内の書店で手にした本に心を動かされたのだという。


『青年よ故郷に帰って市長になろう』という本の表紙には二枚目の青年が背広を肩にかけて空を見上げている。そのカッコ良さに私はすぐに感化された。伊藤忠での仕事もそれなりに充実していたが、「市長」という響き、そして市民(公)に尽くす仕事の意義に強く惹かれたのだ。(46ページより)

ビジネス
「個人的な欲望」から誕生した大人気店の秘密...平野紗季子が明かす「愛されるブランド」の作り方
あわせて読みたい
ニュース速報

ワールド

中国軍が台湾周辺で実弾射撃訓練、封鎖想定 過去最大

ワールド

韓国大統領、1月4ー7日に訪中 習主席とサプライチ

ビジネス

米シティ、ロシア部門売却を取締役会が承認 損失12

ワールド

マレーシア野党連合、ヤシン元首相がトップ辞任へ
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:ISSUES 2026
特集:ISSUES 2026
2025年12月30日/2026年1月 6日号(12/23発売)

トランプの黄昏/中国AI/米なきアジア安全保障/核使用の現実味......世界の論点とキーパーソン

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    ウクライナ水中ドローンが、ロシア潜水艦を爆破...「史上初の攻撃成功」の裏に、戦略的な「事前攻撃」
  • 2
    マイナ保険証があれば「おくすり手帳は要らない」と考える人が知らない事実
  • 3
    「腸が弱ると全身が乱れる」...消化器専門医がすすめる「腸を守る」3つの習慣とは?
  • 4
    アジアの豊かな国ランキング、日本は6位──IMF予測
  • 5
    「すでに気に入っている」...ジョージアの大臣が来日…
  • 6
    「サイエンス少年ではなかった」 テニス漬けの学生…
  • 7
    なぜ筋肉を鍛えても速くならないのか?...スピードの…
  • 8
    90代でも元気な人が「必ず動かしている体の部位」と…
  • 9
    【銘柄】子会社が起訴された東京エレクトロン...それ…
  • 10
    『SHOGUN 将軍』の成功は嬉しいが...岡田准一が目指…
  • 1
    90代でも元気な人が「必ず動かしている体の部位」とは何か...血管の名医がたどり着いた長生きの共通点
  • 2
    ウクライナ水中ドローンが、ロシア潜水艦を爆破...「史上初の攻撃成功」の裏に、戦略的な「事前攻撃」
  • 3
    アジアの豊かな国ランキング、日本は6位──IMF予測
  • 4
    『SHOGUN 将軍』の成功は嬉しいが...岡田准一が目指…
  • 5
    中国、インドをWTOに提訴...一体なぜ?
  • 6
    海水魚も淡水魚も一緒に飼育でき、水交換も不要...ど…
  • 7
    マイナ保険証があれば「おくすり手帳は要らない」と…
  • 8
    批評家たちが選ぶ「2025年最高の映画」TOP10...満足…
  • 9
    アベノミクス以降の日本経済は「異常」だった...10年…
  • 10
    素粒子では「宇宙の根源」に迫れない...理論物理学者…
  • 1
    日本がゲームチェンジャーの高出力レーザー兵器を艦載、海上での実戦試験へ
  • 2
    90代でも元気な人が「必ず動かしている体の部位」とは何か...血管の名医がたどり着いた長生きの共通点
  • 3
    ウクライナ水中ドローンが、ロシア潜水艦を爆破...「史上初の攻撃成功」の裏に、戦略的な「事前攻撃」
  • 4
    アジアの豊かな国ランキング、日本は6位──IMF予測
  • 5
    人口減少が止まらない中国で、政府が少子化対策の切…
  • 6
    日本人には「当たり前」? 外国人が富士山で目にした…
  • 7
    【銘柄】オリエンタルランドが急落...日中対立が株価…
  • 8
    日本の「クマ問題」、ドイツの「問題クマ」比較...だ…
  • 9
    『SHOGUN 将軍』の成功は嬉しいが...岡田准一が目指…
  • 10
    「勇気ある選択」をと、IMFも警告...中国、輸出入と…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中