「これが自衛ですか?これは戦争犯罪です」...パレスチナ大使が語ったイスラエルとの葛藤とハマスへの思い

2025年7月12日(土)17時08分
山田敏弘(国際ジャーナリスト)

ICCは、イスラエルがジェノサイド(大量殺戮)や民族浄化といった戦争犯罪を行っていると述べました。テロリズムよりもひどいことです。

──日本政府がハマスをテロ組織に指定するのは公正だと思いますか?

政府はやりたいようにできます。私から言うことは何もありません。しかし、過去70年間、イスラエルの軍事占領に抵抗してきたパレスチナ人にテロリズムのレッテルを貼ったり定義を当てはめたりすることは、正しい説明だとは思いません。

ハマスがテロ組織かについては、アメリカや一部のヨーロッパ諸国、中国はノーと言い、ロシアもノーと言いますし、一部のヨーロッパ諸国もノーと言います。アフリカ諸国、南米諸国もそうです。

──2月に外国特派員協会で行われた記者会見を見た。あなたはイスラエルのハアレツ紙が、10月7日の出来事は、「死者数は確認されたところで900人だけで、そのうち50%はイスラエル兵だった」というこれまで見たことのないデータを記事にした、と外国人のX投稿を紹介していたが、直後にハアレツ紙がその投稿は事実ではないと反論している。このデータを信じているのか。

この情報はハアレツ紙から入手しました。ただ最終的にイスラエルは死者数は1200人だと言っています。私が言いたいのは、1200人がパレスチナ人の銃弾で殺されたのか、それともイスラエル人の銃弾で殺されたのかを調査するために、国際調査団を派遣すべきだということです。

あの日、報道では、イスラエルのヘリコプターや戦車が現場に到着したとき、全員に発砲していたと報じているものがあった。だから、ヘリコプターの中にいたら、それがハマスなのか、それともイスラエル人なのか、どうやってわかるのか。だから私たちは国際的な調査団に来てもらって、遺体を調べ、銃弾を調べるように呼びかけています。

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