「これが自衛ですか?これは戦争犯罪です」...パレスチナ大使が語ったイスラエルとの葛藤とハマスへの思い

2025年7月12日(土)17時08分
山田敏弘(国際ジャーナリスト)

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インタビューは東京都港区の駐日パレスチナ常駐総代表部で行われた

──ガザへの支援ではなく、ハマスに武器を提供している?

もちろんです。だからイスラエルは常にハマスがガザに留まり続けることを支援してきました。なぜなら、ハマスがガザに留まり続けると、イスラエルはガザにテロリストがいるという言い訳ができる。イスラエルはパレスチナ人との平和を望んでいません。しかし、ヨルダン川西岸を見てください。ヨルダン川西岸も破壊して、新しい入植地を建設しているが、これらすべての言い訳がハマスだと言うのですか、冗談でしょう。

──ただ2023年10月7日に起きたことはテロではないか。

待ってください。イスラエルには過激派はいませんか? テレビに出てきて、ガザを爆撃しよう、ガザに核兵器を使おう、ガザを焼いてしまおう、パレスチナ人を追い出そう、と言っている過激派がいるのです。

今日のイスラエル政府全体は、ICC(国際刑事裁判所)に戦争犯罪人として告発されている戦争犯罪人であるネタニヤフが率いており、彼は過激派、右翼の過激派です。彼はハマスよりもはるかに過激です。なぜならハマスは二国家解決を望んでいると言っているのに、ネタニヤフと彼の支持者たちは二国家解決など存在せず、イスラエルという一つの国家しかないと言っているからです。

──ただ日本政府は、ハマスをテロ組織指定している。

シリアの大統領、新しいシリアの大統領はテロリストでしたが、今は大統領になった。今日の敵は明日の友なのです。日本がテロ組織指定した理由は私には分かりません。少しの、おそらくどこかの国が、「はい、ハマスはテロ国家だ」と言ったので、日本もそれに追随したということでしょう。

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