「これが自衛ですか?これは戦争犯罪です」...パレスチナ大使が語ったイスラエルとの葛藤とハマスへの思い

2025年7月12日(土)17時08分
山田敏弘(国際ジャーナリスト)

ガザでは5万5000人以上のパレスチナ人が殺され、1万人以上が行方不明になっています。イスラエルは現在、ガザの70〜75%を占領し、完全にインフラを破壊しました。そこには何も残っていません。これは自衛なのですか? これは戦争犯罪です。

──そもそもパレスチナ人とは誰か。ハマスはパレスチナ人か。

聞きますが、日本の赤軍とは誰ですか? 日本人全員のことですか? だから、パレスチナ人全員がハマスというわけではありません。

ガザの人口220万人のうち、ハマスのメンバーは4万人〜5万人、最大で10万人ほどでしょうか。600万人のパレスチナ人全体のうち、10万人、20万人が、すべてのパレスチナ人ということにはならない。ハマスもパレスチナ人です。

ハマスはパレスチナ社会の一部です。抵抗です。私個人としては彼らのしていることには200%同意できないかもしれませんが、彼らはパレスチナの一部です。

──現在のガザでの紛争について聞くが、先日、パレスチナ自治政府のアッバス議長が、ハマスに対して人質を解放するよう発言した。それにはどう思うか。

100%同意します。最初から、ハマスはすべての民間人人質を解放すべきだったと思います。なぜなら、私たちは民間人を捕らないからです。しかし、イスラエルは一方的に1万人以上の民間人を捕らえています。

私たちは占領下にある。しかしイスラエルは一方的に、イスラエル内の刑務所に1万2000人以上の民間人、女性、子供などを捕らえている。ハマスは大きな間違いを犯したと思います。最終的にはすべての民間人を集め、イスラエル人に引き渡すべきでした。しかし、捕らえたイスラエルの軍人は捕まえたままにすべきでした。なぜなら私たちは戦争状態にあるからです。

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