約束だけのロシア、結果を出す中国...キューバが「中国依存」を強める背景とは?
前出の2月の開所式でキューバ当局は、中国が同国の電力網全体の近代化プロジェクトにも参画すると発表した。2025年までに55カ所、2028年までにさらに37カ所の太陽光発電所を建設し、合計2000MWの発電量を目指す計画だ。完成すれば現在の需要の約3分の2を賄う大規模な事業となる。
船舶データと複数の外国人ビジネスマンの証言によれば、キューバ西部の主要海運拠点であるマリエル港では2024年8月以降、中国からの輸送量が大幅に増加している。昨年には、上海や天津などの中国主要港から太陽光パネルやスチール材、工具、部品などを積んだ船が到着。関係筋によれば、輸送品には太陽光パネルを目的地まで運ぶための陸路輸送用燃料も含まれていたという。
中国からの資材はキューバ全土で見られる。中国語のマークが付いた大型トラックが老朽化した道路を走り、ハティボニコのような遠い建設現場へと向かう姿が見られる。街の郊外にある太陽光発電所建設現場に最近砂利を運んだトラック運転手のノエル・ゴンサレスさんは、「中国人の作業員は定期的に現場を訪れ、燃料の消費量やわれわれが通るルートまで確認している」と述べ、中国側の勤勉さを高く評価した。
元米国のラテンアメリカ担当情報官のフルトン・アームストロング氏は、中国の投資はキューバにとって「大きな利益」だと評価するものの、トランプ政権によるキューバへの制裁を相殺するには不十分だと警告。「キューバ政府はロシアや中国が魔法の薬を持って来ると期待すべきではない」とし、「島を救えるのは中国からの莫大な貿易と援助だけだが、それは到底無理だ」と述べた。
キューバに対する中国の戦略的投資は、中国が近隣のカリブ海の島に「スパイ基地」を設置しているという米国の非難と重なるが、キューバと中国はこの疑惑を否定している
ロシアン・ルーレット
キューバ経済が新型コロナウイルス感染症のパンデミックと米国の制裁の影響で混乱していた2年前、ロシアも援助の意向を示していた。