最新記事
温暖化

「父がまた倒れるのでは」...全米猛暑の中で「熱中症対策基準」公聴会始まる

2025年7月3日(木)08時48分
テキサス州サンアントニオで配管作業にあたる人々

全米を記録的猛暑が襲う中、父親の健康を案じるジャズミン・モレノ・ドミンゲスさん(24)は今月、米ワシントンを訪れた。同国で初となる労働者向け熱中症対策基準の導入を訴えるためだ。写真は異常高温警報が出る中、テキサス州サンアントニオで配管作業にあたる人々。2022年7月撮影(2025年 ロイター/Lisa Krantz)

全米を記録的猛暑が襲う中、父親の健康を案じるジャズミン・モレノ・ドミンゲスさん(24)は今月、米ワシントンを訪れた。同国で初となる労働者向け熱中症対策基準の導入を訴えるためだ。

「父が建設労働の仕事に出るたび、また電話がかかってくるのではと不安になる。再び現場で倒れるのではないかと、絶望と緊張の中で毎日を過ごしている」――。米労働安全衛生局(OSHA)が7月初旬まで開催する公聴会で証言する予定のドミンゲスさんはこう語った。父親は10年前に熱中症で脳卒中を起こしたが、過酷な暑さのアリゾナ州フェニックスで建設労働を続けざるを得ないという。


 

メキシコ出身のドミンゲスさんの父親は65歳。30年にわたり建設現場で働いてきたが、休憩や水分補給、日陰の確保はいずれも義務化されていない。

こうした現状を踏まえ、現在全米で初めて、労働環境における熱中症対策基準が検討されている。労働者の健康を守り、年10億ドルに上る医療費を抑制するのが狙いだ。

危険にさらされる労働者

米国では夏の到来とともに、約6900万人の労働者が猛暑による健康被害のリスクに直面している。労働者の安全を訴える全米ネットワーク「COSH」は2024年から熱中症対策キャンペーンを展開している。

COSHのコーディネーターであるブリトニー・ジェンキンズ氏は、労働者による証言の準備を支援してきた。「畑で、レストランで、倉庫で働く人たちにとって、気温40度超の職場で働く現実を語るのに特別な肩書きは必要ない」

対談
為末大×TAKUMI──2人のプロが語る「スポーツとお金」 セカンドキャリアの前に「考えるべき」こととは?
あわせて読みたい
ニュース速報

ワールド

タイ経済成長率予測、今年1.8%・来年1.7%に下

ワールド

米、半導体設計ソフトとエタンの対中輸出制限を解除

ビジネス

米経済の不確実性、減税や規制緩和も含め分析すべき=

ワールド

オデーサ港に夜間攻撃、子ども2人含む5人負傷=ウク
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:トランプvsイラン
特集:トランプvsイラン
2025年7月 8日号(7/ 1発売)

「平和主義者」のはずの大統領がなぜ? 核施設への電撃攻撃で中東と世界はこう変わる

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    ディズニー・クルーズラインで「子供が海に転落」...父親も飛び込み大惨事に、一体何が起きたのか?
  • 2
    ワニに襲われた直後の「現場映像」に緊張走る...捜索隊が発見した「衝撃の痕跡」
  • 3
    ワニに襲われた男性の「最期の姿」...捜索隊が捉えた発見の瞬間とは
  • 4
    「やらかした顔」がすべてを物語る...反省中のワンコ…
  • 5
    米軍が「米本土への前例なき脅威」と呼ぶ中国「ロケ…
  • 6
    仕事ができる人の話の聞き方。3位は「メモをとる」。…
  • 7
    熱中症対策の決定打が、どうして日本では普及しない…
  • 8
    燃え盛るロシアの「黒海艦隊」...ウクライナの攻撃で…
  • 9
    吉野家がぶちあげた「ラーメンで世界一」は茨の道だ…
  • 10
    「22歳のド素人」がテロ対策トップに...アメリカが「…
  • 1
    燃え盛るロシアの「黒海艦隊」...ウクライナの攻撃で大爆発「沈みゆく姿」を捉えた映像が話題に
  • 2
    ワニに襲われた男性の「最期の姿」...捜索隊が捉えた発見の瞬間とは
  • 3
    イランを奇襲した米B2ステルス機の謎...搭乗した専門家が語る戦略爆撃機の「内側」と「実力」
  • 4
    突然ワニに襲われ、水中へ...男性が突いた「ワニの急…
  • 5
    夜道を「ニワトリが歩いている?」近付いて撮影して…
  • 6
    仕事ができる人の話の聞き方。3位は「メモをとる」。…
  • 7
    ディズニー・クルーズラインで「子供が海に転落」...…
  • 8
    サブリナ・カーペンター、扇情的な衣装で「男性に奉…
  • 9
    定年後に「やらなくていいこと」5選──お金・人間関係…
  • 10
    韓国が「養子輸出大国だった」という不都合すぎる事…
  • 1
    日本の「プラごみ」で揚げる豆腐が、重大な健康被害と環境汚染を引き起こしている
  • 2
    「コーヒーを吹き出すかと...」ディズニーランドの朝食が「高額すぎる」とSNSで大炎上、その「衝撃の値段」とは?
  • 3
    「あまりに愚か...」国立公園で注意を無視して「予測不能な大型動物」に近づく幼児連れ 「ショッキング」と映像が話題に
  • 4
    一瞬にして村全体が消えた...スイスのビルヒ氷河崩壊…
  • 5
    妊娠8カ月の女性を襲ったワニ...妊婦が消えた川辺の…
  • 6
    庭にクマ出没、固唾を呑んで見守る家主、そして次の…
  • 7
    10歳少女がサメに襲われ、手をほぼ食いちぎられる事…
  • 8
    JA・卸売業者が黒幕説は「完全な誤解」...進次郎の「…
  • 9
    「ママ...!」2カ月ぶりの再会に駆け寄る13歳ラブラ…
  • 10
    気温40℃、空港の「暑さ」も原因に?...元パイロット…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中