「父がまた倒れるのでは」...全米猛暑の中で「熱中症対策基準」公聴会始まる
極度の高温は心疾患や腎臓疾患などのリスクを高め、労災発生率も上昇させる。
だが、トランプ政権は提案の根拠となった研究を担う国立労働安全衛生研究所(NIOSH)の予算を大幅に削減。専門家の解雇・整理も進めた。
労働省の広報担当者は取材に対し「公聴会終了後、全ての意見を踏まえて今後の対応を判断する」と回答した。
気温上昇と制度の空白
米労働安全衛生局(OSHA)は企業に「安全な職場環境の提供」を義務づけているが、熱中症に特化した基準は存在しない。
一方で、気温は世界的に上昇傾向にある。2023年は観測史上最も暑い年となり、米国内では暑さが原因とみられる症状で約12万人が救急搬送された。
同年は熱中症関連の死者も過去最多を記録。米国医師会によると1999年比で119%増加した。
だが、暑さによる労働への影響を正確に把握するのは困難だ。シンクタンク「米国進歩センター」の公衆衛生政策部長ジル・ローゼンタール氏によると、データが不十分であり、報告漏れも疑われるという。