新党「アメリカ党」結成を発表したマスクは、トランプ政権130日間で何を得て何を失ったのか
結論:マスクが130日間で得たものは...?
マスクは130日間で何を得て、何を失ったのだろうか。
失ったものを数えるのは簡単だ。テスラの顧客と株価、Xのユーザー、マスクに対しての信頼や好感度(Silver Bulletinによるネット好感度調査でも、2024年以降で最低を記録)。これらは「実業家としてのマスク」にも多大な影響を及ぼした。今まで通り「今を時めく敏腕実業家」として振る舞うのは不可能に近いだろう。
加えて、アメリカが建国以来築き上げてきた信頼やプレゼンスを毀損し、アメリカ政治の不安定性を国内外に示してしまった。これはトランプによるものも大きいが、マスクもその一翼を担ったことは否めない。
一方、マスクが得たものを敢えて挙げるなら「アメリカ大統領の側近として仕事をした」という経歴と、「大統領の権限を笠に着て、好き放題に振る舞えば痛い目に合う」という教訓、そして国内外から向けられたヘイトくらいだろうか。それらを全部足し上げても失ったものと釣り合いは取れないだろう。
マスクは民間宇宙開発のフロントランナーであり、EV企業のテスラや、世界有数のSNSプラットフォームのXといった錚々たる企業を保有する世界屈指の実業家だ。実業家として有能であることは論を待たない。
しかし、政治とビジネスでは求められる能力も全く異なる。「実業家としては有能であっても、政治の世界ではただの無能」というのはおかしな話ではない。
「アメリカを再び偉大にする」ためにトランプがすべきだったのは、マスクのような「無能な味方」を早々に切り捨てることだったのではなかろうか。

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