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荒川河畔の「原住民」(32)

中国人ジャーナリストが日本のホームレスを3年間取材して知った10の命題

2025年6月20日(金)20時05分
文・写真:趙海成

コロナ禍には、疫病の発生地を取材しに行った数人のフリージャーナリストが投獄されることもあった。

これが中国の現実だ。

国境なき記者団による2025年の報道自由度ランキングでは、日本の66位に対し、中国は178位、そのすぐ下は北朝鮮である。ちなみにアメリカは57位、台湾が24位、1位はノルウェーだ。

ホームレス取材のきっかけは荒川河川敷での偶然の出会い

長い間中国に住んでいる、ある日本人作家が私の連載を読んだ後に言った。

「考えてみれば、我々はしばしば明るい面だけを報じ、暗い面を報じないという中国の『面子文化』を批判しますが、自分にも似たような『自信のなさ』があることに気付かされました。私は趙さんがこのテーマで書くと知ったとき、そんな日本の暗い部分をいじらなくてもいいのに、と思ったのです。

実際、私も中国で何か書いていると、これも書けない、あれも書けないと言われ、息苦しさを感じることがあり、常に恐怖感と圧迫感を抱いていました。それに比べて、『全部好きに取材していいよ』とばかりに、開放的で伸び伸びと取材できる趙さんに嫉妬しています」

この日本の作家の言葉は非常に純粋で、正直だと思う。

私は以前に、日本文化のいわゆる「明るい面」に関する記事をたくさん書いていた。

今回ホームレスという題材を選んだのは、命を落としそうになっていたカメを救おうとして、最初のホームレスの友人である桂さんと知り合ったという偶然もあるが、私自身が持っているジャーナリストとしての好奇心と使命感もあると思う。

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