英下院、安楽死容認法案を可決 法制化に向け上院審議へ

英議会下院は20日、終末期患者の「安楽死」を認める法案を採決し、314人が賛成、291人が反対し、賛成多数で可決した。ロンドンで撮影(2025年 ロイター/Isabel Infantes)
[ロンドン 20日 ロイター] - 英議会下院は20日、終末期患者の「安楽死」を認める法案を採決し、314人が賛成、291人が反対し、賛成多数で可決した。法案では、判断能力があり、余命半年以下と診断されたイングランドおよびウェールズの成人末期患者に、医療の助けを借りて自ら人生を終えることを選ぶ権利が認められる。
法案は今後、上院に送られ、数カ月にわたり審議される見通し。内容が修正される可能性もあるが、法案そのものは阻止しないとみられる。世論調査では、英国民の過半数が安楽死を支持している。
2024年11月に行われた下院での1回目の採決は賛成330、反対275だった。その後、内容を精査した上で審議していた。
賛成派は苦しむ患者に尊厳を与えると主張。一方、反対派は患者が家族や社会の重荷になることを恐れ、自ら命を絶つべきだと感じるかもしれないと懸念している。
当初の案で必要とされていた安楽死に対する裁判所の承認は、ソーシャルワーカーや法曹関係者、精神科医で構成されるパネルの判断に変更された。
法案を提出した労働党のキム・レッドビーター議員は、今回採決された法案は依然、世界でも高い水準の保護措置が含まれていると指摘した。
安楽死を巡っては、オーストラリアやカナダ、米国の一部の州などで認められている。