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「まさかの敗北」ロシアの消耗とプーチンの誤算...プーチンが語り始めた後継者

Putin Is Not Winning the War

2025年5月27日(火)21時10分
マイケル・キメージ(ウィルソンセンター・ケナン研究所所長)

ロシアのもう1つのジレンマはウクライナそれ自体だ。侵攻開始時の奇襲作戦が失敗した時点で、プーチンは二者択一を迫られた。侵攻規模を縮小するか、ウクライナ全土で民間人を標的にするか。やすやすと引き下がったと見られるのを恐れてプーチンは後者を選んだが、この選択が裏目に出た。

ロシアの猛攻はウクライナを奮い立たせた。命を賭しても祖国を守ろうと、人々は心に誓った。


ウクライナはロシアよりも貧しい小国で、消耗戦では不利になる。しかも外国は物資を援助しても援軍は派遣しない。どう見ても勝ち目は薄いが、圧倒的な強みがある。ウクライナ人の士気の高さとドローン(無人機)の活用に見られるような創意工夫の才だ。

祖国防衛の熱意がこうした工夫を生み出すのだろう。

それでも消耗戦が長引けば、ロシアはさまざまな点で優位に立てる。支援疲れでアメリカが手を引けば、ウクライナでは国民の士気低下と軍の戦闘能力の低下は避けられず、「アメリカに見捨てられたウクライナ」に、ほかの国々も見切りをつけかねない。

アメリカが手を引けば、ロシアは欧州諸国に個別に働きかけて中立の立場を取らせるか、ロシア寄りにさせることも可能だろう。

アメリカとヨーロッパの間に楔を打ち込めば、ロシアは長年の野望の実現に王手をかけられる。それはヨーロッパに自国の勢力圏を築き、NATOを事実上の解体に追い込むという野望だ。

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