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無節操なトランプが見落とすロシアの「新たな脆弱性」...今こそ強力な対ロ経済制裁の好機

Now Is the Time for Sanctions

2025年5月21日(水)14時30分
クリスチャン・カリル(本誌元モスクワ支局長)

プーチンとトランプ

ともすればプーチン(左)に擦り寄ってきたトランプが友を見限る日は来るのか KEVIN LAMARQUEーREUTERS

もしもトランプに本気でプーチンに圧力をかけるつもりがあるのなら(この仮定が疑わしいことは筆者も承知しているが)、彼の側近たちは今が絶好のチャンスだとトランプに進言するべきだ。

この数週間、欧州諸国は目覚ましい団結と忍耐力を示し、「停戦か、強力な追加制裁か」という最後通告をロシアに突き付けてきた(「30日間の停戦」案への回答期限は5月12日夜だったが、トランプの心変わりでやむなく、欧州諸国は期限を15日まで延長した)。


頼みの石油に陰りが

言うまでもないが、効果的な制裁にはアメリカを含む各国の協調が不可欠だ。しかも今はロシア経済に新たな脆弱性が見え始めている。現状の経済制裁は抜け穴だらけだが、その穴をうまく塞げば、ロシアの弱点を突ける。

2022年2月24日にウクライナへの軍事侵攻を開始し、アメリカとその同盟諸国による前例のない規模の経済制裁を科されてきたにもかかわらず、ロシア経済は驚くほどの好調を維持してきた。

しかし最近のデータからは、ロシアの制裁回避戦略が限界を迎えつつあることが見て取れる。

4月25日、ロシア中央銀行は主要政策金利を現行の21%に据え置くと発表した(ウクライナ侵攻前には9.5%だった)。

プーチンの機嫌を損ねるのを承知で中銀総裁のエリビナ・ナビウリナが高金利を維持したのは、ロシア経済が高インフレで深刻な打撃を受けている証拠だ。

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