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韓国大統領選

韓国大統領選の最有力候補イ・ジェミョンが、リーボックのスニーカーを品切れにさせた理由

2025年5月15日(木)19時10分
ニューズウィーク日本版ウェブ編集部

「政治家のファッションには必ず政治的意図がある」とあるファッション業界関係者は語る。ハン・ドンフン(韓東勲)前国民の力非常対策委員長の眼鏡やカバン、ムン・ジェイン(文在寅)元大統領のウィンドブレーカーも、かつては「完売御礼」の称号を得た。しかし、今回のイ候補のによるリーボックほどの熱狂は前例がない。韓国の主要通販サイトでは検索ランキング10位内にリーボックがランクイン。ネイバーストアでは15万〜20万ウォン(約1万5000円〜2万円)で取引される事例も報告された。

大企業はこの現象に眉をひそめる。「政治色がつくことはブランドイメージにダメージを与えかねない」という懸念だ。一方、中小企業にとってはまさに千載一遇のチャンス。「政治家のファッションマーケティングが大企業には負担になり、中小企業にはチャンスになる」と業界関係者は分析する。

テロ対策に3キロの防弾チョッキも

一方で、イ候補のファッションが物語るのは、選挙戦略だけではない。

彼の白いワイシャツの下に隠されていたのは、3キログラムもの重さの防弾チョッキ。「不平等両極化と内乱は社会を極端な分裂と葛藤に追い込み、大統領候補が防弾服を着て遊説をしなければならないこの状況に至りました」と同候補は語った。

その背景には、240件を超える殺害予告とロシア製銃器が国内に密輸されたという情報まで飛び交うテロへの警戒がある。共に民主党は「候補安全室」を設置、警察出身議員を配置し、情報提供センターを運営している。「トランプ大統領も遊説をするとき、防弾ガラスによる防護スクリーンを立てたことがあります」とキム・ミンソク共に民主党首席最高委員は語る。今後の対策として、遊説会場に風船を浮かべて狙撃の視野を遮断したり、演壇に四面防弾ガラスを設置する案も検討されているという。

大統領選挙まであと20日。一足のスニーカーが引き起こした熱狂と、その裏で進行する厳戒態勢。イ・ジェミョン候補のファッションが映し出すのは、希望と緊張が交錯する韓国政治の現実だ。スニーカーは日々売れ、防弾装備は日々強化される。その対照的な光景が、分断と統合の狭間で揺れる韓国社会の縮図となっている。

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