最新記事
韓国大統領選

韓国大統領選の最有力候補イ・ジェミョンが、リーボックのスニーカーを品切れにさせた理由

2025年5月15日(木)19時10分
ニューズウィーク日本版ウェブ編集部
韓国大統領選のイ・ジェミョン候補

選挙運動初日の舞台でReebokのスニーカーに履き替えるイ・ジェミョン Chris Jung-NurPhoto-Reuters

<出陣式で若々しいイメージを与えるためだけではなかった──>

「今はイ・ジェミョン」──この言葉が貼られた一足のスニーカーが、韓国の政治風景を揺るがしている。

韓国の大統領選挙戦初日の5月12日、共に民主党のイ・ジェミョン大統領候補がソウル市光化門(カンファムン)の清渓(チョンゲ)広場での出陣式に現れた時、誰もが彼の足元に注目した。スーツからジャンパーに着替え、靴を脱いでスニーカーに履き替える様子は、選挙戦を「一生懸命走る」という決意表明だった。しかし、それはただの靴の履き替えではなかった。ニューシス、マネートゥデイ、国民日報など韓国メディアが報じた。

彼が選んだリーボックの「クラシックレザーGY1522」には政治的な計算が込められていた。もちろん、若々しいイメージを与えるという狙いもある。靴の側面には堂々と「今はイ・ジェミョン」という選挙戦のスローガンが貼られている。だが何よりも、このスニーカーが白をベースに青と赤をあしらったトリコロールカラーだという点が最大のポイントだった。これはイ候補を擁する共に民主党の象徴色である青と、対立政党「国民の力」の象徴色である赤が共存していたのだ。

ライバル候補の政党カラーも入れた理由

韓国の選挙戦では、自党のカラーだけでユニフォームを統一するのが通例。しかし、イ候補は敢えて「敵」の色も取り入れた。この前例のない選択には「分断された韓国社会の統合」という強いメッセージが込められている。共に民主党の選対総括本部長は「民主党の青と国民の力の赤 ── 統合の象徴です」と説明する。

その意図がSNSで拡散されるや否や、オンラインショッピングモールでは異変が起きた。2022年に発売されて今では約6割引のわずか3万5600ウォン(約3700円)で買えた靴が、たった1日で、このスニーカーは市場から姿を消した。リーボック公式サイトでは全サイズが完売。フリマなどでは33万9300ウォン(約3万5000円)という10倍以上の価格で取引される「イ・ジェミョン・プレミアム」現象が巻き起こった。

展覧会
「ゴッホ展 家族がつないだ画家の夢」(東京会場) 鑑賞チケット5組10名様プレゼント
あわせて読みたい
ニュース速報

ビジネス

訂正-米ウォルマート、第2四半期利益は予想未達 通

ワールド

イスラエル首相、ガザ停戦交渉の即時再開を指示 攻撃

ビジネス

訂正-米利下げ、差し迫っていない 現在のデータは根

ビジネス

米中古住宅販売、7月は2%増の401万戸 予想上回
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:台湾有事 そのとき世界は、日本は
特集:台湾有事 そのとき世界は、日本は
2025年8月26日号(8/19発売)

中国の圧力とアメリカの「変心」に危機感。東アジア最大のリスクを考える

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    20代で「統合失調症」と診断された女性...「自分は精神病」だと気づいた「驚きのきっかけ」とは?
  • 2
    中国で「妊娠ロボット」発売か――妊娠期間も含め「自然に近い」と開発企業
  • 3
    「あなた誰?」保育園から帰ってきた3歳の娘が「別人」だった...母親によるビフォーアフター画像にSNS驚愕
  • 4
    「まさかの真犯人」にネット爆笑...大家から再三「果…
  • 5
    夏の終わりに襲い掛かる「8月病」...心理学のプロが…
  • 6
    「このクマ、絶対爆笑してる」水槽の前に立つ女の子…
  • 7
    米軍が長崎への原爆投下を急いだ理由と、幻の「飢餓…
  • 8
    こんな症状が出たら「メンタル赤信号」...心療内科医…
  • 9
    ドンバスをロシアに譲れ、と言うトランプがわかって…
  • 10
    フジテレビ、「ダルトンとの戦い」で露呈した「世界…
  • 1
    「レプトスピラ症」が大規模流行中...ヒトやペットに感染、最悪の場合死亡も
  • 2
    「自律神経を強化し、脂肪燃焼を促進する」子供も大人も大好きな5つの食べ物
  • 3
    「あなた誰?」保育園から帰ってきた3歳の娘が「別人」だった...母親によるビフォーアフター画像にSNS驚愕
  • 4
    将来ADHDを発症する「幼少期の兆候」が明らかに?...…
  • 5
    頭部から「黒い触手のような角」が生えたウサギ、コ…
  • 6
    「死ぬほど怖い」「気づかず飛び込んでたら...」家の…
  • 7
    中国で「妊娠ロボット」発売か――妊娠期間も含め「自…
  • 8
    【クイズ】次のうち、「海軍の規模」で世界トップ5に…
  • 9
    20代で「統合失調症」と診断された女性...「自分は精…
  • 10
    債務者救済かモラルハザードか 韓国50兆ウォン債務…
  • 1
    「週4回が理想です」...老化防止に効くマスターベーション、医師が語る熟年世代のセルフケア
  • 2
    こんな症状が出たら「メンタル赤信号」...心療内科医が伝授、「働くための」心とカラダの守り方とは?
  • 3
    「自律神経を強化し、脂肪燃焼を促進する」子供も大人も大好きな5つの食べ物
  • 4
    デカすぎ...母親の骨盤を砕いて生まれてきた「超巨大…
  • 5
    デンマークの動物園、飼えなくなったペットの寄付を…
  • 6
    ウォーキングだけでは「寝たきり」は防げない──自宅…
  • 7
    山道で鉢合わせ、超至近距離に3頭...ハイイログマの…
  • 8
    「レプトスピラ症」が大規模流行中...ヒトやペットに…
  • 9
    将来ADHDを発症する「幼少期の兆候」が明らかに?...…
  • 10
    「あなた誰?」保育園から帰ってきた3歳の娘が「別人…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中