中ロが触手を伸ばす米領アリューシャン列島で「次の火種」が...トランプが見落とす「危機の兆候」
THE LOOMING ALEUTIANS CRISIS
トランプ政権はグリーンランドに固執しているが、アラスカ北極圏での中国の積極的な行動も、米軍と外交政策にとっての重大な問題とみるべきだ。アメリカはアリューシャン列島の防衛を安全保障の優先課題に据えて、北極圏で核危機が勃発する可能性を弱めなければならない。
中国の「極地シルクロード」
冷戦終結後、アメリカはアリューシャン列島周辺の軍事拠点を段階的に縮小し、1997年にはアダック島の海軍基地を閉鎖した。しかし近年、アメリカの敵対国はアリューシャン列島への関心を再燃させている。米本土から遠いこの島々は、中国とロシアの野心の前に脆弱だ。
アラスカ州選出のダン・サリバン上院議員(共和党)は昨年9月、アラスカ沖で中国とロシアの協調的な軍事活動が増えていることについて、「世界がより危険になるなか、アラスカは独裁的な侵略の最前線であり続ける」と述べている。
アメリカが外交政策においても軍事的にも北極圏の重要な国益を保護したいと考えるなら、アリューシャン列島の戦略的重要性を認識しなければならない。
中国は北極圏に領土を持たないにもかかわらず、中国の北に位置する高緯度圏を自分たちの勢力圏の一部と見なしている。2021年に発表した第14次5カ年計画でもこの地域の地政学的政策について、「深海の戦略資源の調査と評価を強化し」「北極で実践的な協力に参加して『極地シルクロード』を構築する」と、明確なビジョンを示している。