最新記事
荒川河畔の「原住民」(29)

アルミ缶買い取り体験記...トランプ関税がホームレスの生活にも影響

2025年5月13日(火)18時15分
文・写真:趙海成

ホームレスたちがアルミ缶を売って得たお金は、血と汗の結晶だ

ホームレスたちがアルミ缶を売って得たお金は、血と汗の結晶だ

距離が遠いと疲れてしまう、本当は辞めたい

征一郎さんもまた、アルミ缶を売って得たお金は、大変な苦労で稼いだ、血と汗の結晶だと痛感しているという。

「缶の仕事は、ほかのホームレスからすれば悪くない仕事らしいですが、僕は本当はやりたくないんです。買取業者(リサイクル業者)の近くに住んでいる人や、24時間まるっきり全部アルミ缶収集に使えるような人は、全然いいと思うんですよ。毎日頑張って1万円以上稼ぐホームレスも何人か知っています。

だけど、僕の場合は違う。買取業者から遠くて、行くだけでも時間がかかって疲れてしまいます。結局、忙しくてお風呂に入れないし、洗濯もできなくなる。早く休もうと思っても、橋の下に住んでいると、電車の音がうるさくて、寝たいときに寝られません。

起きてまたアルミ缶を売りに行かないと、食べ物を買うお金がなくて困るし、風や雨のせいで売りに行けないこともあります。本当にストレスだらけで、体がガンになるんじゃないかと思うほどです。今年も何度か死にたくなりましたよ。

とにかく、アルミ缶の仕事を早く辞めたい。ただ、もし本当にアルミ缶の仕事がなくなってしまったら、私を含めてホームレスの半分は蒸発してしまうんじゃないか」

最後に、アルミ缶の市場についてもう少し詳しく説明しておこう。

あわせて読みたい
ニュース速報

ワールド

サウジ原油輸出、6月急増し1年超ぶり高水準 供給途

ワールド

ダライ・ラマ、「輪廻転生」制度を存続 後継選定で中

ワールド

豪小売売上高、5月は前月比0.2%増と低調 8日の

ビジネス

豪カンタス航空、600万人分の顧客データベースにサ
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:トランプvsイラン
特集:トランプvsイラン
2025年7月 8日号(7/ 1発売)

「平和主義者」のはずの大統領がなぜ? 核施設への電撃攻撃で中東と世界はこう変わる

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    ワニに襲われた男性の「最期の姿」...捜索隊が捉えた発見の瞬間とは
  • 2
    ワニに襲われ女性が死亡...カヌー転覆後に水中へ引きずり込まれる
  • 3
    仕事ができる人の話の聞き方。3位は「メモをとる」。2位は「身を乗り出す」。では、1位は?
  • 4
    ディズニー・クルーズラインで「子供が海に転落」...…
  • 5
    ワニに襲われた直後の「現場映像」に緊張走る...捜索…
  • 6
    突然ワニに襲われ、水中へ...男性が突いた「ワニの急…
  • 7
    砂浜で見かけても、絶対に触らないで! 覚えておくべ…
  • 8
    世紀の派手婚も、ベゾスにとっては普通の家庭がスニ…
  • 9
    燃え盛るロシアの「黒海艦隊」...ウクライナの攻撃で…
  • 10
    あり?なし? 夫の目の前で共演者と...スカーレット…
  • 1
    燃え盛るロシアの「黒海艦隊」...ウクライナの攻撃で大爆発「沈みゆく姿」を捉えた映像が話題に
  • 2
    「コーヒーを吹き出すかと...」ディズニーランドの朝食が「高額すぎる」とSNSで大炎上、その「衝撃の値段」とは?
  • 3
    イランを奇襲した米B2ステルス機の謎...搭乗した専門家が語る戦略爆撃機の「内側」と「実力」
  • 4
    ワニに襲われた男性の「最期の姿」...捜索隊が捉えた…
  • 5
    定年後に「やらなくていいこと」5選──お金・人間関係…
  • 6
    突然ワニに襲われ、水中へ...男性が突いた「ワニの急…
  • 7
    夜道を「ニワトリが歩いている?」近付いて撮影して…
  • 8
    仕事ができる人の話の聞き方。3位は「メモをとる」。…
  • 9
    サブリナ・カーペンター、扇情的な衣装で「男性に奉…
  • 10
    「小麦はもう利益を生まない」アメリカで農家が次々…
  • 1
    日本の「プラごみ」で揚げる豆腐が、重大な健康被害と環境汚染を引き起こしている
  • 2
    「コーヒーを吹き出すかと...」ディズニーランドの朝食が「高額すぎる」とSNSで大炎上、その「衝撃の値段」とは?
  • 3
    「あまりに愚か...」国立公園で注意を無視して「予測不能な大型動物」に近づく幼児連れ 「ショッキング」と映像が話題に
  • 4
    一瞬にして村全体が消えた...スイスのビルヒ氷河崩壊…
  • 5
    妊娠8カ月の女性を襲ったワニ...妊婦が消えた川辺の…
  • 6
    庭にクマ出没、固唾を呑んで見守る家主、そして次の…
  • 7
    10歳少女がサメに襲われ、手をほぼ食いちぎられる事…
  • 8
    JA・卸売業者が黒幕説は「完全な誤解」...進次郎の「…
  • 9
    「ママ...!」2カ月ぶりの再会に駆け寄る13歳ラブラ…
  • 10
    気温40℃、空港の「暑さ」も原因に?...元パイロット…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中