アルミ缶買い取り体験記...トランプ関税がホームレスの生活にも影響
15キロのアルミ缶、2~3日生きるのにギリギリ
予定通り、45分で目的地に到着した。道路の角に位置しているリサイクルセンターで、大きな看板が非常に目立つため、遠くからでもすぐに分かった。
自転車を押しながら入り、合計3袋のアルミ缶を降ろすと、工場から責任者らしき若い男性が出てきた。互いに挨拶を交わす。私たちは、アルミ缶を作業場の圧縮機のそばに移動させるよう指示された。
私たちは2回に分け、アルミ缶を圧縮機に入れた。すると工場の人がシャベルのような道具を持ってきて、鉄製のトレイの中のアルミ缶をかき回し始めた。後で知ったのだが、アルミ缶の中にスチール缶が混ざっている場合には、その道具の磁石に引き寄せられて選り分けることができるのだ。
その後、圧縮機のスイッチが押され、アルミ缶を押しつぶした。
工場にはもう1人若い作業員がいて、電子レンジぐらいの大きさに圧縮された2つのアルミブロックをはかりに載せ、重量を測定していく。
総重量は15キログラムだった。その日の相場はアルミ缶1キロにつき255円で、15キロだと3825円になる。それに383円の消費税が加算され、現金として4208円を得ることができた。
リサイクルセンターの人の話では、アメリカのトランプ大統領が始めた関税戦争の影響でアルミの価格が下落したのだという。関税戦争前はアルミ缶1キロにつき約300円だったそうだが、現在は255円である。
宇海くんはそれから、時間と「給料」を計算した。アルミ缶を集めるのに2時間、洗って潰すのに1時間。リサイクルセンターまで缶を運び、現金に交換するのに往復2時間。合わせて5時間で4208円を稼いだ。2日間か3日間の生計を立てるにはぎりぎりである。
彼はこれから、缶の仕事を続けつつ、同時に他のアルバイトを探すつもりだという。