新教皇レオ14世は「常識破り」...トランプ批判も辞さない、初のアメリカ人教皇が選出された舞台裏とは
The New American Pope
密室で起きていたこと
5月7日に始まったコンクラーベはわずか2日、計4回の投票で終了した。参加した枢機卿133人が、カトリック教会内のイデオロギー的分断ではなく、同胞の精神というメッセージを広めることを求めて団結した証しだ。一連のプロセスはその全てが意味を持っていた。バルコニーに現れた新教皇の法衣は、フランシスコと比べて装飾的で、儀式重視の伝統への部分的回帰を表しているようだった。
サンピエトロ広場に集まった信者が登場を待つなか、プレボストは「涙の部屋」に入って祈り、教皇の法衣に着替えた。この小部屋の名称は、教皇としての責任を自覚する感情的な重みを示唆している。
プレボストの選出が発表された際には、史上初の出来事が起きた。「USA、USA」。広場の様子を伝えるライブ動画では、そう唱和するアメリカ人の声が聞こえる。
コンクラーベは密室状態で行われた。会場のシスティナ礼拝堂では、盗聴器が設置されていないことが確かめられ、通信を阻止すべく電波妨害装置が起動し、参加者の枢機卿は外部との接触を禁じられた。
扉の向こうで何が起きたのか、はっきりと知ることは不可能だ。何人かの枢機卿はいずれ、カトリック系メディアに内幕を語るかもしれないが、政治的駆け引きの実態が判明することは決してない。競合する派閥や実力者の間で取引が行われ、何らかの保証が提供された可能性もある。