疑惑の大統領選候補、支持率は首位──李在明が映す韓国民主主義の矛盾
選挙結果でどうなるのか?
李在明候補が6月3日の投票で当選した場合、過去の例にならえば翌日の6月4日に大統領に就任する可能性が高い。2017年に朴槿惠(パク・クネ)大統領が弾劾された後の補欠選挙でも、文在寅候補は5月9日の選挙から翌日の5月10日にはすぐに大統領に就任している。
大統領に就任した場合、韓国憲法第84条により、李在明候補は「内乱または外患の罪」を除き、在任中の刑事訴追を免れることになる。つまり、現在進行中の5つの裁判はすべて実質的に凍結され、5年間の任期中は裁判の進行が停止する。これらの裁判は任期終了後に再開される可能性はあるが、政治状況によって結果が左右される可能性も否定できない。
一方で、李在明候補が今回の選挙で敗れた場合、高裁での有罪判決が確定し、次回の大統領選挙に出馬できない可能性が高まる。特に最大の焦点である公職選挙法違反の高裁判決は、大法院による差し戻しを受けて有罪となる公算が大きい。
韓国では、文在寅元大統領と尹錫悦前大統領との間で「政治報復」とも言われる司法闘争が続いてきた。李在明候補をめぐる一連の裁判も、政治と司法の深い関わりを示す事例として、韓国政治の構造的課題を浮き彫りにしている。選挙結果によって、韓国の政治司法関係は大きく変わる可能性がある。