アメリカが「次に進む」とは? ロシア寄り仲裁案が示す米の転換点
“Vladimir, STOP!”
ヨーロッパの情報筋によると、その主なポイントは5つある。まず、ロシア軍とウクライナ軍は現在の場所で戦闘を停止する、従って、ロシアはウクライナの領土の約20%(東部の元工業地帯含む)を手に入れる。第2に、アメリカは14年以降の対ロ経済制裁を解除する。
第3に、ロシアのクリミア半島併合は容認される。第4に、アメリカはウクライナに平和維持部隊を派遣せず、ウクライナはNATO加盟を断念する。第5に、こうしたロシアに有利な条件と引き換えに、ロシアは......何の譲歩もする必要はない。
まるで「プーチンが作成したかのような」仲裁案だと、あるNATO高官は米政治ニュースサイト「ポリティコ」に語っている。
事実上降伏を迫る「仲裁」
ロシアの国営メディアは仲裁案の概要をつかんでいたらしく、「アメリカがウクライナ和平交渉から手を引くのは、事実上の既定路線だ」とし、「西側の結束は失われた。もはや同盟とは言えない。トランプ主義は、米欧の一致を確実かつ迅速に打ち砕いた」と書き立てた。
これが図星でないなら、トランプの狙いは何なのか。和平交渉を始める前に、ロシアの要求を仲裁案に盛り込み、それをのむようウクライナに圧力をかけるのは、事実上ウクライナに降伏を迫っているのに等しい。