最新記事
ウクライナ戦争

アメリカが「次に進む」とは? ロシア寄り仲裁案が示す米の転換点

“Vladimir, STOP!”

2025年5月1日(木)14時20分
フレッド・カプラン(スレート誌コラムニスト)

ヨーロッパの情報筋によると、その主なポイントは5つある。まず、ロシア軍とウクライナ軍は現在の場所で戦闘を停止する、従って、ロシアはウクライナの領土の約20%(東部の元工業地帯含む)を手に入れる。第2に、アメリカは14年以降の対ロ経済制裁を解除する。

第3に、ロシアのクリミア半島併合は容認される。第4に、アメリカはウクライナに平和維持部隊を派遣せず、ウクライナはNATO加盟を断念する。第5に、こうしたロシアに有利な条件と引き換えに、ロシアは......何の譲歩もする必要はない。


まるで「プーチンが作成したかのような」仲裁案だと、あるNATO高官は米政治ニュースサイト「ポリティコ」に語っている。

事実上降伏を迫る「仲裁」

ロシアの国営メディアは仲裁案の概要をつかんでいたらしく、「アメリカがウクライナ和平交渉から手を引くのは、事実上の既定路線だ」とし、「西側の結束は失われた。もはや同盟とは言えない。トランプ主義は、米欧の一致を確実かつ迅速に打ち砕いた」と書き立てた。

これが図星でないなら、トランプの狙いは何なのか。和平交渉を始める前に、ロシアの要求を仲裁案に盛り込み、それをのむようウクライナに圧力をかけるのは、事実上ウクライナに降伏を迫っているのに等しい。

あわせて読みたい
ニュース速報

ワールド

米・ウクライナ鉱物協定「完全な経済協力」、対ロ交渉

ビジネス

トムソン・ロイター、25年ガイダンスを再確認 第1

ワールド

3日に予定の米イラン第4回核協議、来週まで延期の公

ビジネス

米新規失業保険申請1.8万件増の24.1万件、予想
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:英語で学ぶ 国際ニュース超入門
特集:英語で学ぶ 国際ニュース超入門
2025年5月 6日/2025年5月13日号(4/30発売)

「ゼロから分かる」各国・地域情勢の超解説と時事英語

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    日本の未婚男性の「不幸感」は他国と比べて特異的に高く、女性では反対に既婚の方が高い
  • 2
    マリフアナを合法化した末路とは? 「バラ色の未来が来るはずだったのに...」
  • 3
    タイタニック生存者が残した「不気味な手紙」...何が書かれていた?
  • 4
    ポンペイ遺跡で見つかった「浴場」には、テルマエ・…
  • 5
    日本旅行が世界を魅了する本当の理由は「円安」では…
  • 6
    中国で「ネズミ人間」が増殖中...その驚きの正体とは…
  • 7
    インド北部の「虐殺」が全面「核戦争」に発展するか…
  • 8
    クルミで「大腸がんリスク」が大幅に下がる可能性...…
  • 9
    日本史上初めての中国人の大量移住が始まる
  • 10
    悲しみは時間薬だし、幸せは自分次第だから切り替え…
  • 1
    日本史上初めての中国人の大量移住が始まる
  • 2
    日本旅行が世界を魅了する本当の理由は「円安」ではない
  • 3
    MRI検査で体内に「有害金属」が残留する可能性【最新研究】
  • 4
    中国で「ネズミ人間」が増殖中...その驚きの正体とは…
  • 5
    ロシア国内エラブガの軍事工場にウクライナが「ドロ…
  • 6
    日本の未婚男性の「不幸感」は他国と比べて特異的に…
  • 7
    パニック発作の原因の多くは「ガス」だった...「ビタ…
  • 8
    使うほど脱炭素に貢献?...日建ハウジングシステムが…
  • 9
    私の「舌」を見た医師は、すぐ「癌」を疑った...「口…
  • 10
    マリフアナを合法化した末路とは? 「バラ色の未来…
  • 1
    【話題の写真】高速列車で前席のカップルが「最悪の行為」に及ぶ...インド人男性の撮影した「衝撃写真」にネット震撼【画像】
  • 2
    日本史上初めての中国人の大量移住が始まる
  • 3
    日本旅行が世界を魅了する本当の理由は「円安」ではない
  • 4
    健康寿命を伸ばすカギは「人体最大の器官」にあった.…
  • 5
    【心が疲れたとき】メンタルが一瞬で “最…
  • 6
    間食はなぜ「ナッツ一択」なのか?...がん・心疾患・抜…
  • 7
    北朝鮮兵の親たち、息子の「ロシア送り」を阻止する…
  • 8
    中居正広は何をしたのか? 真相を知るためにできる…
  • 9
    【クイズ】世界で最も「半導体の工場」が多い国どこ…
  • 10
    自らの醜悪さを晒すだけ...ジブリ風AIイラストに「大…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中