アメリカが「次に進む」とは? ロシア寄り仲裁案が示す米の転換点
“Vladimir, STOP!”

トランプの停戦仲介中もロシアはウクライナの首都キーウの住宅地を爆撃した(4月24日) AP/AFLO
<「1日で停戦させる」と豪語したのも今は昔、不屈のウクライナにさじを投げ、ロシア寄りの「降伏」を迫っている>
ウクライナ戦争なんて、大統領就任初日に終わらせてやる──。ドナルド・トランプ米大統領は2024年大統領選で、そう豪語したものだ。
そして大統領就任から3カ月が過ぎた4月、トランプは、ロシアによる「和平という名の降伏」要求を事実上丸のみにした上で、ウクライナにもこれを受け入れるよう迫っている。この最中の4月24日、ロシアはウクライナの首都キーウの住宅地を爆撃した。
この日、トランプは相変わらず、ウクライナ戦争の行方に影響を与えられると勘違いしたまま、ロシアのウラジーミル・プーチン大統領に、「ウラジーミル、やめろ!」と、自身のSNSで呼びかけた。「ロシアのキーウ攻撃はいただけない。必要がないし、タイミングも最悪だ」
ぞっとするようななれなれしさはさておき(トランプがウクライナのウォロディミル・ゼレンスキー大統領をファーストネームで呼んだことがあるだろうか)、この呼びかけは、プーチンが民間人殺害を反省したり、国際社会の非難を気にかけたりするという新たな勘違いも露呈した。
トランプのいら立ちも分からなくはない。トランプ政権がロシアとウクライナに提示した「仲裁案」は、ロシアの残虐行為を事実上おとがめなしとする、ロシアに極めて甘い内容だったのだから。