最新記事
欧州情勢

プーチンの最終目標が見えた──トランプが非難する『選挙を経ていない独裁者』、ゼレンスキーの孤立

Russia’s Playbook

2025年2月26日(水)15時50分
カテリーナ・ボンダール(米戦略国際問題研究所ワドワニAIセンター研究員)

ハンガリーとスロバキアの例も、ロシアが政治腐敗を利用してEUやNATO加盟国を自国の影響圏に引き寄せたことを示している。ハンガリーでロシアは、親ロシア派のオルバン・ビクトル率いるハンガリー政府を通じて大型プロジェクトなどの契約を獲得。この結び付きがオルバンの取り巻きにも利益をもたらしている。

さらにハンガリーでは、親ロシア派のメディアがロシア政府に好意的な論調を拡散。ハンガリーはロシアが諜報活動を行いやすい欧州の「ハブ」となり、主要な同盟国をEUの制裁から守るロシアの盾にもなった。


スロバキアでも同じだ。23年、ロシアはNATOやアメリカをウクライナへの「侵略者」とする偽情報を流し、総選挙でナショナリストのロベルト・フィツォ元首相を政権に返り咲かせた。

フィツォはウクライナへの武器供与を停止。汚職事件を取り扱う特別検察局の廃止やメディア統制の強化など民主主義のメカニズムを弱体化させ、その後もロシアの利益に沿うよう政策を調整している。

これらの例から、ロシアが一貫して同じ戦略を取っていることが分かる。選挙でロシア寄りの権威主義的な体制を誕生させ、そこに提供する資金を腐敗から作り出し、偽情報を拡散して支援する......。

あわせて読みたい
ニュース速報

ビジネス

米雇用、11月予想上回る+6.4万人・失業率4.6

ビジネス

ホンダがAstemoを子会社化、1523億円で日立

ビジネス

独ZEW景気期待指数、12月は45.8に上昇 予想

ワールド

トランプ氏がBBC提訴、議会襲撃前の演説編集巡り巨
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:教養としてのBL入門
特集:教養としてのBL入門
2025年12月23日号(12/16発売)

実写ドラマのヒットで高まるBL(ボーイズラブ)人気。長きにわたるその歴史と深い背景をひもとく

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    日本がゲームチェンジャーの高出力レーザー兵器を艦載、海上での実戦試験へ
  • 2
    人口減少が止まらない中国で、政府が少子化対策の切り札として「あるもの」に課税
  • 3
    【実話】学校の管理教育を批判し、生徒のため校則を変えた校長は「教員免許なし」県庁職員
  • 4
    ミトコンドリア刷新で細胞が若返る可能性...老化関連…
  • 5
    「住民が消えた...」LA国際空港に隠された「幽霊都市…
  • 6
    「勇気ある選択」をと、IMFも警告...中国、輸出入と…
  • 7
    FRBパウエル議長が格差拡大に警鐘..米国で鮮明になる…
  • 8
    【人手不足の真相】データが示す「女性・高齢者の労…
  • 9
    【衛星画像】南西諸島の日米新軍事拠点 中国の進出…
  • 10
    「日本中が人手不足」のウソ...産業界が人口減少を乗…
  • 1
    日本がゲームチェンジャーの高出力レーザー兵器を艦載、海上での実戦試験へ
  • 2
    人口減少が止まらない中国で、政府が少子化対策の切り札として「あるもの」に課税
  • 3
    【衛星画像】南西諸島の日米新軍事拠点 中国の進出を睨み建設急ピッチ
  • 4
    デンマーク国防情報局、初めて米国を「安全保障上の…
  • 5
    【銘柄】資生堂が巨額赤字に転落...その要因と今後の…
  • 6
    ミトコンドリア刷新で細胞が若返る可能性...老化関連…
  • 7
    【クイズ】「100名の最も偉大な英国人」に唯一選ばれ…
  • 8
    中国軍機の「レーダー照射」は敵対的と、元イタリア…
  • 9
    香港大火災の本当の原因と、世界が目撃した「アジア…
  • 10
    【実話】学校の管理教育を批判し、生徒のため校則を…
  • 1
    東京がニューヨークを上回り「世界最大の経済都市」に...日本からは、もう1都市圏がトップ10入り
  • 2
    日本がゲームチェンジャーの高出力レーザー兵器を艦載、海上での実戦試験へ
  • 3
    高速で回転しながら「地上に落下」...トルコの軍用輸送機「C-130」謎の墜落を捉えた「衝撃映像」が拡散
  • 4
    日本人には「当たり前」? 外国人が富士山で目にした…
  • 5
    「999段の階段」を落下...中国・自動車メーカーがPR…
  • 6
    【銘柄】オリエンタルランドが急落...日中対立が株価…
  • 7
    「髪形がおかしい...」実写版『モアナ』予告編に批判…
  • 8
    日本の「クマ問題」、ドイツの「問題クマ」比較...だ…
  • 9
    人口減少が止まらない中国で、政府が少子化対策の切…
  • 10
    膝が痛くても足腰が弱くても、一生ぐんぐん歩けるよ…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中