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プーチンの最終目標が見えた──トランプが非難する『選挙を経ていない独裁者』、ゼレンスキーの孤立

Russia’s Playbook

2025年2月26日(水)15時50分
カテリーナ・ボンダール(米戦略国際問題研究所ワドワニAIセンター研究員)

ウクライナが早期の選挙実施に追い込まれれば、ロシアはまたこの手段を使う。戦争終結やロシアとの関係正常化、または単に交渉のテーブルに着くことを約束する候補者を後押しするだろう。ゼレンスキーの下で自国が孤立しているよりはましだと思える条件だ。

ロシアが支持する候補者は完全な勝利を収める必要はない。ロシアとしてはウクライナを分裂させ、ロシア寄りの候補者にも勝機があることを示せればいい。


これは短期的には、ウクライナ国民を戦争から解放し、平和へと続く道に見えるかもしれない。だが長期的には、ウクライナをロシアの影響下に引き戻す可能性もある。

この結果はトランプにとっては戦略的な敗北となる。ロシアが軍事的な勝利なしに目標を達成することを許し、ロシアが勢いづくだけではなく、アメリカの同盟国に対して「アメリカの約束は信用できない」というメッセージを送ることになるからだ。

ウクライナが戦争に敗れれば、ロシアの成功は東欧を越えて影響を及ぼすだろう。ロシアにとって、さらに中国にとっても有利な地政学的変化を引き起こしかねない。

それを阻止するため、トランプ政権はウクライナの将来に忍耐と戦略を持ってアプローチすべきだ。ロシアを勢いづかせる一方で、世界におけるアメリカの影響力を低下させるような短期的な解決策には抵抗しなくてはならない。

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