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「精神を鍛えるため...」性的虐待事件に揺れる世界第3のキリスト教教会、トップは知っていたのか

An Impossible Job

2024年11月25日(月)16時40分
ジェームズ・パーマー(フォーリン・ポリシー誌副編集長)
カンタベリー大主教ジャスティン・ウェルビー

批判を受けて来年1月にカンタベリー大主教を辞任するジャスティン・ウェルビー Luke MacGregor-REUTERS

<同性愛者を毛嫌いしながら、裸で青少年を虐待していた教会関係者(故人)。英国国教会の最高位、カンタベリー大主教が辞意を表明した。事件への対応を誤った理由とは...>

英国国教会の最高位であるカンタベリー大主教の職務は、常にリスクが付きまとう。現代ではさすがに清教徒に斬首されたり、火あぶりにされたりはしない。だが英国国教会は同じ流れをくむ聖公会を含めると、約8500万人の信徒がいる世界第3のキリスト教教会。その指導者に試練が多いことに変わりはない。

11月12日に辞意を表明したカンタベリー大主教のジャスティン・ウェルビーは、それをよく知っている。辞意を示した理由は、教会関係者による性的虐待事件をめぐり、教会側の対応を検証する委員会の最終報告書が出たことだ。


加害者のジョン・スマイス(故人)は弁護士で、キリスト教のサマーキャンプ運営団体の著名な指導者だった。彼は同性愛者を毛嫌いし、1976年には同性愛者コミュニティーを支えていたゲイ・ニュース誌を「神への冒瀆」の罪で起訴に持ち込んだ。

だが、私生活ではセックスに執着。時には自ら裸になって青少年をサディスティックに殴る虐待を繰り返しては、彼らの精神を鍛えるためだと言い放っていた。

ウェルビーはスマイスを知っていたが、虐待については知らなかったと言う。検証委員会はこれを疑問視している。

スマイス事件は、現代の英国国教会が抱える矛盾の核心を突くものだ。教会は大きな危機を迎え、次席聖職者のヨーク大主教がカンタベリー大主教の役割の改革を求める事態に発展している。

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