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サイバー犯罪

実行犯が手口を暴露...東南アジアが拠点、アメリカで4万人が騙された「豚の屠殺」詐欺とは?

THAI CYBERSCAMMERS

2024年11月5日(火)15時08分
ソナル・ナイン(ジャーナリスト)

サイバー犯罪のイメージ

ILLUSTRATION BY MOOR STUDIO/ISTOCK

この点について問い合わせたところ、フェイスブックの親会社メタは本誌に、詐欺行為の摘発についてはタイ警察と緊密に協力していると回答してきた。

今年4月から7月までに偽のアカウント12億件とスパムメッセージ3億2200万件を削除しているし、タイ国内のデジタル・リテラシー推進団体とも協力してサイバー詐欺被害を回避するための支援を提供しているという。なおグーグルからの回答は得られなかった。

いずれにせよ、こうした犯罪グループが「世界中で増殖するのは必至」だとピタニラブートは言う。なにしろ「すごい金額を稼げる」からだ。「実際、既にサイバー詐欺の稼ぎは麻薬の密売で得られる利益を上回っているかもしれない」

タイ警察の当局者によれば、この5年間でサイバー詐欺に関するアメリカの司法当局からの捜査協力要請は飛躍的に増えた。

アメリカ人被害者の預金が国内外の銀行口座からタイに送金されたロマンス詐欺の事例や、ランサムウエアにやられたアメリカ人の払った身代金がタイの仮想通貨取引所を経由して処理された事例も確認されている。

「豚の屠殺」の被害総額

「豚の屠殺」と呼ばれる詐欺の手口もある。豚を思い切り肥育してから屠殺するのと同様、うまい投資話を装って被害者に限界まで金を出させ、挙げ句に行方をくらます手法だ。

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