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サイバー犯罪

実行犯が手口を暴露...東南アジアが拠点、アメリカで4万人が騙された「豚の屠殺」詐欺とは?

THAI CYBERSCAMMERS

2024年11月5日(火)15時08分
ソナル・ナイン(ジャーナリスト)

タイの捜査当局が踏み込んだサイバー詐欺の拠点

タイの捜査当局が踏み込んだサイバー詐欺の拠点 ROYAL THAI POLICE

被害者は自分の出した資金が増えていると信じているが、実際には投資など行われておらず、複雑なスキームを通じて資金洗浄が行われ、どこかへ消えているだけだ。

ちなみに米NBCの報道によれば、アメリカでも昨年だけで約4万人が「豚の屠殺」の被害に遭い、総額35億ドル以上が奪われているという。

タイ警察サイバー犯罪対策班のブリンスチャートによれば、サイバー犯罪は増える一方で、その多くでは貴重な個人情報が盗まれている。アメリカやヨーロッパの会社が設定している個人情報保護の仕組みが犯罪組織に悪用されるケースもあるらしい。

「利用者のプライバシーや人権を守るための仕組みやウェブの閲覧環境を最適化する技術が、かえって犯罪行為を見えにくくしている可能性がある」と彼は言う。

サイバー詐欺の国際的ネットワークとの戦いは続いているが、効果的な取り締まりは難しい。組織の仕組みは複雑で、指揮命令部門と詐欺の実行部隊は別々で、資金洗浄のシステムも別にあるからだ。

実行部隊の中心人物を逮捕しても、代役はいくらでもいる。そもそも首謀者は外国に潜んでいることが多いから、タイの捜査当局が彼らを特定するのは難しい。捜査線上に浮かぶのは、たいてい仮想通貨の口座名義人や換金・送金の実行役くらいだ。

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