最新記事
事件

ライバル選手のチェス盤に水銀...ロシアのチェスプレイヤーが「毒を塗り付ける」決定的瞬間 犯行動機は?

Chess Player Caught on Camera Attempting to Poison Rival With Mercury

2024年8月9日(金)15時25分
ビリー・シュワブ・ダン
チェス

(写真はイメージです) Lysenko Andrii-Shutterstock

<無人の試合会場に現れた容疑者の姿を監視カメラが記録。ライバル選手のチェス盤に毒を塗り、周囲を見回しながら慎重に退室する一部始終をとらえた映像が話題になっている>

チェスプレイヤーが水銀を使ってライバル選手に毒を盛ろうとしたとされる瞬間が、監視カメラによって記録された。その動画がネット上で拡散されている。

【監視カメラ映像】無人の試合会場に現れ、ライバル選手のチェス盤に手際よく「水銀」を塗り付ける決定的瞬間

ロシアチェス連盟は、ロシア・ダゲスタン共和国マハチカラ出身の40歳のプロチェスプレイヤー、アミナ・アバカロワ(Amina Abakarova)に資格停止処分を科した。アバカロワは、30歳のライバル選手ウマイガナット・オスマノワ(Umayganat Osmanova)に毒を盛ろうとしたとして拘束されており、有罪になれば最長3年の刑が科せられる、と「メトロ」は報じている。

各種メディアでシェアされている動画は、アバカロワがオスマノワのチェス盤に体温計から水銀をたらし、チェスの駒で塗り付けている様子が映っているとされるものだ。X(旧ツイッター)にこの動画をアップしたイゴール・スシュコというユーザーはこの出来事の後、「プーチンはすぐさまアバカロワに恋をした」と書いている──ただし、明るみになったこの事件に、ロシアのウラジーミル・プーチン大統領が関与していることを示すものは一切ない。

Xに掲載されたこの動画の視聴回数は、本稿執筆時点で120万回に上っている。

「酸欠のよう」「口の中に鉄の味」

この不鮮明な動画には、部屋を横切り、チェス盤が載った机の一つに近づくアバカロワが映っている。チェスの駒の一つを刷毛のように使って、なんらかの物質をチェス盤に広げているように見える。それが終わるとアバカロワは部屋を見回してから歩き去った。

ロシア南部で開催されたダゲスタンチェス選手権で、オスマノワは予定通りプレイしたが、結局「ひどいめまいと吐き気」による体調不良に陥った、とメトロは伝えている。

大会の審判がこの件を当局に報告したことを受け、監視カメラの映像を警察が検証した。

チェス・ドットコムが「ロシア・トゥデイ」のインタビューを引用して伝えているところによれば、オスマノワは「ものすごくひどい気分で、ぐったりする」のを感じ、毒を盛られたと悟ったという。

オスマノワはロシア・トゥデイに次のように語った、とチェス・ドットコムは伝えている。「今でも気分が悪い。最初の数分で酸欠のような感じになり、口の中に鉄の味がした。このチェス盤で5時間くらい過ごすはずだった。早く気づいていなかったら、どうなっていたか分からない」

あわせて読みたい
ニュース速報

ワールド

韓国最高裁、李在明氏の無罪判決破棄 大統領選出馬資

ワールド

イスラエルがシリア攻撃、少数派保護理由に 首都近郊

ワールド

学生が米テキサス大学と州知事を提訴、ガザ抗議デモ巡

ワールド

豪住宅価格、4月は過去最高 関税リスクで販売は減少
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:英語で学ぶ 国際ニュース超入門
特集:英語で学ぶ 国際ニュース超入門
2025年5月 6日/2025年5月13日号(4/30発売)

「ゼロから分かる」各国・地域情勢の超解説と時事英語

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    マリフアナを合法化した末路とは? 「バラ色の未来が来るはずだったのに...」
  • 2
    日本の未婚男性の「不幸感」は他国と比べて特異的に高く、女性では反対に既婚の方が高い
  • 3
    タイタニック生存者が残した「不気味な手紙」...何が書かれていた?
  • 4
    ポンペイ遺跡で見つかった「浴場」には、テルマエ・…
  • 5
    中国で「ネズミ人間」が増殖中...その驚きの正体とは…
  • 6
    日本旅行が世界を魅了する本当の理由は「円安」では…
  • 7
    インド北部の「虐殺」が全面「核戦争」に発展するか…
  • 8
    クルミで「大腸がんリスク」が大幅に下がる可能性...…
  • 9
    日本史上初めての中国人の大量移住が始まる
  • 10
    フラワームーン、みずがめ座η流星群、数々の惑星...2…
  • 1
    日本史上初めての中国人の大量移住が始まる
  • 2
    日本旅行が世界を魅了する本当の理由は「円安」ではない
  • 3
    MRI検査で体内に「有害金属」が残留する可能性【最新研究】
  • 4
    中国で「ネズミ人間」が増殖中...その驚きの正体とは…
  • 5
    ロシア国内エラブガの軍事工場にウクライナが「ドロ…
  • 6
    パニック発作の原因の多くは「ガス」だった...「ビタ…
  • 7
    使うほど脱炭素に貢献?...日建ハウジングシステムが…
  • 8
    私の「舌」を見た医師は、すぐ「癌」を疑った...「口…
  • 9
    ポンペイ遺跡で見つかった「浴場」には、テルマエ・…
  • 10
    健康寿命は延ばせる...認知症「14のリスク要因」とは…
  • 1
    【話題の写真】高速列車で前席のカップルが「最悪の行為」に及ぶ...インド人男性の撮影した「衝撃写真」にネット震撼【画像】
  • 2
    日本史上初めての中国人の大量移住が始まる
  • 3
    日本旅行が世界を魅了する本当の理由は「円安」ではない
  • 4
    健康寿命を伸ばすカギは「人体最大の器官」にあった.…
  • 5
    【心が疲れたとき】メンタルが一瞬で “最…
  • 6
    間食はなぜ「ナッツ一択」なのか?...がん・心疾患・抜…
  • 7
    北朝鮮兵の親たち、息子の「ロシア送り」を阻止する…
  • 8
    中居正広は何をしたのか? 真相を知るためにできる…
  • 9
    【クイズ】世界で最も「半導体の工場」が多い国どこ…
  • 10
    自らの醜悪さを晒すだけ...ジブリ風AIイラストに「大…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中