最新記事
ウクライナ戦争

ウクライナ水上ドローン、ロシア国内の「黒海艦隊」基地に突撃...猛烈な「迎撃」受ける緊迫「海戦」映像

Ukraine's Sea Drones Attack Russian Black Sea Fleet Base

2024年7月7日(日)13時20分
イザベル・ファン・ブリューゲン
ロシア黒海艦隊を攻撃するウクライナ水上ドローン

Fomin Roman/Shutterstock

<ウクライナ軍のドローン攻撃に苦しむロシア黒海艦隊は、クリミアの主要な海軍基地をほとんど放棄してノヴォロシースクなどに移動したとの情報も>

ウクライナ海軍の水上ドローンが、ロシア黒海艦隊の基地があるロシア南部クラスノダール地方ノヴォロシースクの港を攻撃したと、地元メディアが報じた。ロシアメディアはこの時の様子だとする映像を公開。ここには、モーターボートのような水上ドローンに向け、停泊中の艦船からおびただしい数の砲撃が行われるシーンが捉えられている。

■【動画】これが現代の「海戦」のリアルな映像...ロシア黒海艦隊の猛烈な砲撃を受けながら、突撃する水上ドローン

ロシアは昨年秋、2014年にロシアが併合したクリミア半島の奪還を目指すウクライナの攻撃を受け、多くの戦艦をクリミアからノヴォロシースクの基地に移動させている。

ノヴォロシースクのアンドレイ・クラフチェンコ市長は、7月3日朝に「無人艇による攻撃」があったと発表した。地元の複数のテレグラムチャンネルは、住民が爆発音を複数回聞いたと伝えた。クラフチェンコ市長は、「特に海沿いの堤防には行かないように」と警告した。

ウクライナはここ数カ月、水上攻撃ドローン「マグラV5」を使ったロシア海軍への攻撃を強化している。ウクライナ国防省情報総局は5月、これまでにロシアの艦艇に5億ドル相当の損害を与えたと発表した。

同局のアンドリー・ユーソフ報道官は、マグラV5は黒海艦隊を標的にする上で「ウクライナが持つ主要かつ最良の兵器」だと述べた。

ロシア黒海艦隊の3分の1が活動不能に

ロシア国防省は7月3日、ノヴォロシースクに向かっていたドローン2機が黒海で破壊されたと発表。これに対し、地元のテレグラムチャンネル「クリミアの風」は疑問を呈し、ノヴォロシースク港で発生した火災を示しているとする衛星画像を公開した。

「7〜12番バースと、港近くの会社で何かが燃えている」「(ロシアは)海上で水上ドローン2機が破壊されたと発表した。しかし、なぜか火災は陸上で起きている」と同チャンネルは伝えた。

昨年10月の衛星画像では、ロシアの艦隊がクリミアのセバストポリからノヴォロシースクに移動していることが明らかになった。ロシアの戦艦は、クリミア半島東部のフェオドシアの軍港にも向かっていた。

オープンソース・インテリジェンス(OSINT)の研究者MTアンダーソンが4月に公開した衛星画像では、黒海艦隊がクリミアの主要な海軍基地をほとんど放棄したように見える。

ウクライナ海軍の元報道官で、現在は同国南部防衛軍の報道官を務めるドミトロ・プレテンチュクは3月、「(ウクライナの)究極の目標は、いわゆるロシア連邦の軍艦がアゾフと黒海地域から完全にいなくなることだ」と述べた。

プレテンチュクは6月には、ニュースメディアのRBCウクライナに対し、ロシア黒海艦隊の3分の1が活動不能になっていると述べている。

ニューズウィーク日本版 英語で学ぶ国際ニュース超入門
※画像をクリックすると
アマゾンに飛びます

2025年5月6日/13日号(4月30日発売)は「英語で学ぶ 国際ニュース超入門」特集。トランプ2.0/関税大戦争/ウクライナ和平/中国・台湾有事/北朝鮮/韓国新大統領……etc.

※バックナンバーが読み放題となる定期購読はこちら


あわせて読みたい
ニュース速報

ワールド

トランプ氏、ウォルツ大統領補佐官解任へ=関係筋

ビジネス

物言う株主サード・ポイント、USスチール株保有 日

ビジネス

マクドナルド、世界の四半期既存店売上高が予想外の減

ビジネス

米KKRの1─3月期、20%増益 手数料収入が堅調
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:英語で学ぶ 国際ニュース超入門
特集:英語で学ぶ 国際ニュース超入門
2025年5月 6日/2025年5月13日号(4/30発売)

「ゼロから分かる」各国・地域情勢の超解説と時事英語

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    日本の未婚男性の「不幸感」は他国と比べて特異的に高く、女性では反対に既婚の方が高い
  • 2
    マリフアナを合法化した末路とは? 「バラ色の未来が来るはずだったのに...」
  • 3
    タイタニック生存者が残した「不気味な手紙」...何が書かれていた?
  • 4
    ウクライナ戦争は終わらない──ロシアを動かす「100年…
  • 5
    インド北部の「虐殺」が全面「核戦争」に発展するか…
  • 6
    MRI検査で体内に「有害金属」が残留する可能性【最新…
  • 7
    悲しみは時間薬だし、幸せは自分次第だから切り替え…
  • 8
    日本旅行が世界を魅了する本当の理由は「円安」では…
  • 9
    クルミで「大腸がんリスク」が大幅に下がる可能性...…
  • 10
    【徹底解説】次の教皇は誰に?...教皇選挙(コンクラ…
  • 1
    日本史上初めての中国人の大量移住が始まる
  • 2
    日本旅行が世界を魅了する本当の理由は「円安」ではない
  • 3
    MRI検査で体内に「有害金属」が残留する可能性【最新研究】
  • 4
    中国で「ネズミ人間」が増殖中...その驚きの正体とは…
  • 5
    ロシア国内エラブガの軍事工場にウクライナが「ドロ…
  • 6
    日本の未婚男性の「不幸感」は他国と比べて特異的に…
  • 7
    パニック発作の原因の多くは「ガス」だった...「ビタ…
  • 8
    マリフアナを合法化した末路とは? 「バラ色の未来…
  • 9
    使うほど脱炭素に貢献?...日建ハウジングシステムが…
  • 10
    私の「舌」を見た医師は、すぐ「癌」を疑った...「口…
  • 1
    【話題の写真】高速列車で前席のカップルが「最悪の行為」に及ぶ...インド人男性の撮影した「衝撃写真」にネット震撼【画像】
  • 2
    日本史上初めての中国人の大量移住が始まる
  • 3
    日本旅行が世界を魅了する本当の理由は「円安」ではない
  • 4
    健康寿命を伸ばすカギは「人体最大の器官」にあった.…
  • 5
    【心が疲れたとき】メンタルが一瞬で “最…
  • 6
    間食はなぜ「ナッツ一択」なのか?...がん・心疾患・抜…
  • 7
    北朝鮮兵の親たち、息子の「ロシア送り」を阻止する…
  • 8
    【クイズ】世界で最も「半導体の工場」が多い国どこ…
  • 9
    クレオパトラの墓をついに発見? 発掘調査を率いた…
  • 10
    中居正広は何をしたのか? 真相を知るためにできる…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中