最新記事
ロシア軍

えぐれた滑走路に見る、ロシア空軍基地の被害規模...ウクライナがドローン「少なくとも70機」で集中攻撃【衛星画像】

Satellite Images Show Aftermath of Hit on Russian Airfield Hosting Su-34s

2024年6月17日(月)20時50分
ジョーダン・キング
Su-34

攻撃を受けたモロゾフスク空軍基地にも配備されているというSu-34(写真は2019年8月、モスクワ州ジューコフスキー) Andrey 69-Shutterstock

<ウクライナ軍が少なくとも70機のドローンでロシアのモロゾフスク空軍基地を集中攻撃。攻撃後の衛星画像に写っていたのは、大破した建物と滑走路。爆撃機の姿は...>

ウクライナのドローン攻撃を受けたとされるロシアの空軍基地の、攻撃前と後の状況が衛星画像によって明らかになった。

【写真で比較】崩れた屋根、えぐれた滑走路...同じ空軍基地を写した2枚の衛星画像が示すその「被害規模」

これはオープンソースの情報分析を行っているブラディ・アフリックがX(旧ツイッター)に投稿したもの。ロシア南部ロストフ州にあるモロゾフスク空軍基地を6月4日に撮影した画像では、建物の屋根も滑走路は無傷で、近くに複数の航空機が駐機している。

ところが14日の画像では、屋根は崩れ、滑走路も大きく破損している様子が見て取れる。周囲に航空機は見当たらない。

ウクライナ国防省のキリロ・ブダノフ情報総局長によれば、ウクライナ軍は13日から14日にかけての夜、少なくとも70機のドローンを使って同空軍基地を攻撃したという。ブダノフは軍事情報サイト「ウォーゾーン・プロジェクト」に対し、この作戦はウクライナ領内から、ウクライナのドローン「ドラゴン」と「スプラッシュ」を使用して行ったという。

ロシア国防省も、その夜にウクライナから大規模なドローン攻撃を受けたことを認めた。ただし防空部隊の迎撃により、計87機のドローンが破壊したとしている。本誌は両国の発表した数字について確認できていない。

春に続いてドローン攻撃は2度目

プラウダが引用したロシアの複数のテレグラム・チャンネルは、モロゾフスクの町の住人が爆発音を聞いたと伝えている。

モロゾフスク空軍基地には、戦闘爆撃機のSu-24やSu-24M、Su-34が配備されている。いずれもロシア製でコックピットは並列複座式、全天候型の超音速中距離爆撃機だ。

ウクライナ軍のドローンによるモロゾフスク空軍基地への攻撃はここ数カ月の間で2回目だ。4月4日から5日にかけての夜、この地域に「大規模な攻撃」があったことをロストフ州のヴァシリー・ゴルベフ知事は認めている。

知事はこの時、ロシアの防空ネットワークによって40を超える標的が撃墜されたと述べていた。また、モロゾフスクが再び攻撃される可能性を問われ、知事は「ある」と答えていた。

ウクライナ最高会議(議会)の議員で安全保障・国防・情報委員会の副委員長を務めるイェホル・チェルニエフは本誌に対し、ウクライナはこの夏のロシアによるハルキウ州での攻勢を、アメリカの武器を使って食い止めることができるとの見方を示した。

あわせて読みたい
ニュース速報

ワールド

トランプ大統領、ベネズエラとの戦争否定せず NBC

ビジネス

独経済回復、来年は低調なスタートに=連銀

ビジネス

ニデック、永守氏が19日付で代表取締役を辞任 名誉

ビジネス

ドル157円台へ上昇、1カ月ぶり高値 円が広範にじ
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:教養としてのBL入門
特集:教養としてのBL入門
2025年12月23日号(12/16発売)

実写ドラマのヒットで高まるBL(ボーイズラブ)人気。長きにわたるその歴史と深い背景をひもとく

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    「最低だ」「ひど過ぎる」...マクドナルドが公開したAI生成のクリスマス広告に批判殺到
  • 2
    自国で好き勝手していた「元独裁者」の哀れすぎる末路が発覚...プーチンは保護したのにこの仕打ち
  • 3
    「勇気ある選択」をと、IMFも警告...中国、輸出入ともに拡大する「持続可能な」貿易促進へ
  • 4
    日本がゲームチェンジャーの高出力レーザー兵器を艦…
  • 5
    ゆっくりと傾いて、崩壊は一瞬...高さ35mの「自由の…
  • 6
    おこめ券、なぜここまで評判悪い? 「利益誘導」「ム…
  • 7
    中国の次世代ステルス無人機「CH-7」が初飛行。偵察…
  • 8
    身に覚えのない妊娠? 10代の少女、みるみる膨らむお…
  • 9
    一瞬にして「巨大な橋が消えた」...中国・「完成直後…
  • 10
    9歳の娘が「一晩で別人に」...母娘が送った「地獄の…
  • 1
    日本がゲームチェンジャーの高出力レーザー兵器を艦載、海上での実戦試験へ
  • 2
    人口減少が止まらない中国で、政府が少子化対策の切り札として「あるもの」に課税
  • 3
    「勇気ある選択」をと、IMFも警告...中国、輸出入ともに拡大する「持続可能な」貿易促進へ
  • 4
    デンマーク国防情報局、初めて米国を「安全保障上の…
  • 5
    【衛星画像】南西諸島の日米新軍事拠点 中国の進出…
  • 6
    【実話】学校の管理教育を批判し、生徒のため校則を…
  • 7
    ミトコンドリア刷新で細胞が若返る可能性...老化関連…
  • 8
    「最低だ」「ひど過ぎる」...マクドナルドが公開した…
  • 9
    自国で好き勝手していた「元独裁者」の哀れすぎる末…
  • 10
    【銘柄】資生堂が巨額赤字に転落...その要因と今後の…
  • 1
    日本がゲームチェンジャーの高出力レーザー兵器を艦載、海上での実戦試験へ
  • 2
    人口減少が止まらない中国で、政府が少子化対策の切り札として「あるもの」に課税
  • 3
    高速で回転しながら「地上に落下」...トルコの軍用輸送機「C-130」謎の墜落を捉えた「衝撃映像」が拡散
  • 4
    日本人には「当たり前」? 外国人が富士山で目にした…
  • 5
    【銘柄】オリエンタルランドが急落...日中対立が株価…
  • 6
    「髪形がおかしい...」実写版『モアナ』予告編に批判…
  • 7
    日本の「クマ問題」、ドイツの「問題クマ」比較...だ…
  • 8
    膝が痛くても足腰が弱くても、一生ぐんぐん歩けるよ…
  • 9
    インド国産戦闘機に一体何が? ドバイ航空ショーで…
  • 10
    「勇気ある選択」をと、IMFも警告...中国、輸出入と…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中